醜悪なミニ政党こそ民主主義の危機
れいわ新選組も、私の目には山本代表の演説が「上っ面だけのパフォーマンス」としか映らなかった。3議席を手にし、「これからいばらの道だ」と発言した山本氏だが、一体何を実現できるというのか。
奇抜さという意味では、代表の奥野氏がお面をかぶって演説した「ごぼうの党」も強烈だ。エンターテインメントの大切さなどを訴えていた奥野氏は、莫大な資産を持つ富裕層。金持ちの道楽と思われても仕方がないが、少なくとも政治で金儲けをしようとは考えていないようだ。ただ、今回の結果は振るわなかった。
供託金が必要とはいえ、例えばアメリカに比べると、日本の選挙には金がさほどかからない。それがミニ政党が乱立する一因ではないだろうか。
金持ちでなくても被選挙権を行使できるのは、本来称賛されるべきこと。しかし、ワケの分からない政党や候補者の姿を見て、「投票に行こう」と促されていた若者たちはどう思っただろうか。
結局、こうしたミニ政党が日本の政界で力を持つ可能性は低いだろう。だからみんな、どうでもいい存在だと無視しているのかもしれない。だが多数派の無関心が問題政党、問題党首をのさばらせることもある。
今回、一部のミニ政党が善戦したのも、それを裏付けているのではないか。民主主義の危機は案外そうした無関心が引き起こしているのかもしれない。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「地球ジャーナル ゆあチャン」)としても活動。