茶道を始めて知った日本人の意外なしたたかさ
先生のそうした話を通じ、真面目でナイーブな印象の強い日本人にも、戦乱の中で生き延びるための知恵や図太さ、したたかさがあるのだと知った。
そう言えば出版業界でも、第2次大戦時には戦争万歳を掲げ、国粋主義的だった講談社のオーナーが、戦後、出版社にも戦争責任を追及する声が上がるなか、最悪の事態に備えて光文社を設立したと関係者に聞いたことがある。
そんな日本人のしたたかさに感心する一方、国際社会においては、それが最近通用しなくなってきていると感じる。日米安保の恩恵を受けつつ、中国との太い経済関係も維持しようとする「二兎を追う」外交は、もう通用しないのではないか。
ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア側につくか欧米側につくかで世界は二分された。現在インドが取っているようなどっち付かずの立場は、ウクライナ問題に限らずもはや許されないだろう。
対米関係と対中関係のバランスを問われてきた日本も、国益を考えれば、今後はアメリカ一辺倒でやっていくしかないのだ。中国人の私としては寂しい気持ちはあるが......。
しかし、そんな暗い気分も、お茶のお稽古をしていればどこへやら。今から次の日曜日が楽しみである。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「地球ジャーナル ゆあチャン」)としても活動。

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