「五輪で感動」を押し付ける日本のスポーツ界に、外国人が感じる「不思議さ」
だが、本来五輪は見る者の「感動」のためではなく、この日のためにトレーニングを重ねてライバルや記録や自分に勝つために競技に出る選手たちのものである。1年も延期されたのだから、できることならば万全の感染対策をした上で競技ができる環境を整えてあげてほしい、というのは真のスポーツファンに共通する願いであろうし、同時に不自由な日本滞在を強いられる選手たちへの心遣いもあっていいはずだ。
だって日本はおもてなしの国なのだから。
しかし、実際は海外から来る選手たちを、コロナを持ち込む厄介者扱いしているようにも見受けられて、残念だ。コロナ禍でも大会を開催するならば、水も漏らさぬくらいの感染対策をし、参加各国の賛同を取り付け、科学的データに基づいたポジティブなメッセージで世界のマスコミや世論を黙らせる。
そういう日本を見てみたい。そしてこの大会が、お仕着せの「感動」を受け入れない、観戦を楽しむ目の肥えたファンが増えるきっかけになるといい。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
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