コロナ禍と副業推進で日本の格差は加速度的に広がる
ちなみに私が幼い頃、イランの首都テヘランで大手銀行に勤務しながら、同時に車のショールームを経営して、大きく稼いでいる親戚がいた。最近まで日本人にその話をすると、なぜそんなことが許されるのか信じられないという反応だったが、これからは日本でも副業が一般的になって、さして驚かれる話ではなくなるのかもしれない。
その頃のイランは、社会的にも企業のルール的にも縛りが緩く、稼げる人はいくらでも稼げる社会であったし、その分だけ経済的格差も大きかった。
私は決して日本型雇用の信奉者ではないが、大多数が同じような条件で終身雇用される働き方が日本社会の格差の少なさにつながってきたことは十分知っている。ただ私たちは現在、日本の働き方の大転換期、そして格差社会の加速度的拡大期にいる。そこから目を背けてはならない。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン生まれ。2002年に留学のため来日。日本人女性と結婚し、2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran
<本誌2020年8月11-18日合併号掲載>
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2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか