コラム

難民受け入れに消極的な日韓は「五十歩百歩」

2020年07月29日(水)16時45分
李 娜兀(リ・ナオル)

韓国では2018年、内戦が続くイエメンから500人以上が済州島を訪れ、難民申請をした。これがニュースで大きく取り上げられたことから、韓国内で難民問題について保守的な声が高まり、難民法を廃止すべきだというデモも行われた。

一方、日本も1980年代に比べ、難民に対する目は厳しくなっている。昨年11月に内閣府が実施した「難民認定制度の在り方」に関する世論調査によると、難民を「これまで以上に積極的に受け入れるべき」との回答は24.0%にすぎず、「慎重に受け入れるべき」が56.9%と多かった。

つまり、より積極的に難民を受け入れてきた欧米などの各国と比較すると、日韓はドングリの背比べのようなものだ。中国政府が香港市民の自由を大きく制限しようとしたときに、いち早く在留資格延長などの声を上げたのもオーストラリアだった。

娘のおかげで、緒方さんの活躍に感動した日々を思い出すことができた。そして、日本に住む韓国人として、日本にも韓国にも、自由や人権といった価値についてアジアで先頭を歩いてほしいという気持ちを新たにしている。

magTokyoEye_Lee.jpg李 娜兀
NAOHL LEE
国際交流コーディネーター・通訳。ソウル生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。韓国外国語大学卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得(政治学専攻)。大学で国際交流に携わる。2人の子供の母。

<本誌2020年7月28日号掲載>

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