コラム

コロナ禍で露呈した「意識低い系」日本人

2020年05月02日(土)11時15分
石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)

私はこのコロナ禍を通じて、日本人は総じて自分が社会の一員であるという自覚に疎いと感じてしまった。考えてみれば国政選挙も地方選挙も投票率が低い。特にそれは都市部で顕著だ。そして今、コロナの影響を最も受けているのが都市部である。

感染が本格的に広がる前の1月から可能な限りマスクを着け手洗いし、感染防止に努めてきた日本人の意識は素晴らしい。民度の高さの表れだが、それは同時に、テレワークや休みを容認しない企業への諦めと自己防衛なのかもしれない。

日本人にはマスク着用以外にも、社会の構成員としての自覚と協力を惜しまない姿勢を見せてほしい。つまり、家にとどまり家族や隣人を大事にする、不自由もしばらく我慢する、税金で困窮者を分け隔てなく支援することを支持し、余裕がある人は寄付をする。医療従事者やインフラを支える人をサポートする......。

政府や地方行政のパンデミック対策に思うところのある人は、次の選挙で投票に行き意思を示すべきだ。民主主義の経済大国の社会のあるべき姿とはそういうものだと思うのだが、どうだろう。

toykyoeye_ishino_profile_w100.jpg石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン生まれ。2002年に留学のため来日。日本人女性と結婚し、2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran

<本誌2020年4月28日号掲載>

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2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

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