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ベルリンが「ブロックチェーンの首都」になった理由
ベルリンのハッカー組織「カオス・コンピュータ・クラブ」のメンバーズ・サロンc-baseで開かれた会合の様子 2009年 ©Raimond Spekking / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
<暗号通貨やブロックチェーン技術は、シリコンバレーの革新的な精神と連携するはずだったが、ブロックチェーンの考え方にもっとも適合したのはベルリンだった......>
ベルリンのハッカー文化
ブロックチェーン技術は、次世代インターネットやデジタル・トランスフォーメーション(DX)の最も有望なトレンドの1つである。スタートアップ、革新的な技術チーム、そして大企業や政府までが、次の破壊的なイノベーションの鍵となるブロックチェーンの応用に取り組んでいる。
元来、暗号通貨やブロックチェーン技術は、シリコンバレーの革新的な精神と連携するはずだった。しかし、ブロックチェーン・コミュニティは別の港を見つけた。それがベルリンである。
銀行や政府の介在なしで行われる分散型金融システムのアイデアが、ベルリンで特に関心を集めてきたのには、ベルリンという都市の自由精神や反体制文化と関連がある。さらに、世界のハッカー文化の中心であるカオス・コンピュータ・クラブ(CCC)がベルリンにあることも、暗号技術の基盤を支えている。
CCCは、世界に8千人ほどの正式メンバーを持ち、分散するコラボレーションを特徴とするハッカー文化により、ベルリンの先端情報技術やブロックチェーンの台頭を後押ししてきた。今日、ビットコインをめぐるゴールドラッシュが衰えた後でさえ、ベルリンの暗号コミュニティは、ブロックチェーンの背後にある理想を支持している。
現実世界をデジタルでマッピングする「デジタルツイン」
ブロックチェーンは、ネットワークに接続された複数のコンピュータが暗号化されたデータを共有することで、データの改ざんを防ぎ、透明性を実現する分散型台帳システムである。それは暗号通貨の送金システムにとどまらず、さまざまな経済活動のプラットフォームとなり得る技術である。ブロックチェーンは、500年前に発明された「複式簿記」以来の革命とも表現されている。
ブロックチェーンの応用を、中古車市場の深刻な問題を解決する事例をもとに説明してみよう、EUに登録されているすべての車両の約30%が、走行距離計の読み取り値を改ざんして走行していると推定されている。ここで、ブロックチェーン・ベースのデジタルツインの登場が期待される。デジタルツインは、現実世界のオブジェクトをデジタルでマッピングすることで、ヴァーチュアルな双子として機能する。実際に走行するクルマのすべての情報は、デジタルツインによって追跡可能となる。
中古車を購入する場合、走行距離と実施された修理や定期的なメンテナンスの履歴よって販売価格が決まる。走行距離の改ざんなどは、ブロックチェーンを介したデジタルツインを追跡することで確認することができる。すべての修理、所有者によるすべての変更は、個々のブロックに保存され、改ざんすることはできない。
クルマは定期的に走行距離計の読み取り値をデータベースに報告し、修理や検査に関するデータも保存される。データはパブリック・ブロックチェーンにミラーリングされ、走行距離の正確さが担保される。これにより、中古車市場の信頼性は高まり、クルマの価格の透明性が維持されるのだ。
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