韓国次期大統領の最右翼「李在明の正体」民主主義の破壊者?それとも庶民の救済者?
Lee Jae-myung’s Strategic Bet

韓国大統領選への出馬を正式に表明した野党「共に民主党」の李在明 KIM JAE-HWANーSOPA IMAGESーREUTERS
<ついに尹錫悦が罷免され大統領選が6月に。最有力候補は苦労人だが汚職疑惑のあるポピュリスト。次期大統領の座に最も近い男の素顔>
いったい韓国の民主主義はどこへ行くのか。カギを握るのは李在明(イ・ジェミョン)という男だ。
現職大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)は去る4月4日に、憲法裁判所によって罷免された。昨年12月の唐突な「非常戒厳」宣布を違法として弾劾した議会の判断が追認された形だ。
次の大統領を決める選挙は6月3日に実施される。真っ先に手を挙げたのは革新系の最大野党「共に民主党」を率いる李在明。民主主義の守護者と称賛される一方で、保守派からは過激なイデオロギーで社会の分断を助長する危険人物と見なされている。
現時点の世論調査では、誰が相手でも李が圧倒的に有利とされる。確かに支持基盤は強固だ。しかし、党派色をむき出しにして対立をあおる李の政治手法に不安を抱く穏健派の有権者も多く、国民的な人気と呼ぶには程遠い。
李は韓国中部の安東市で貧しい家庭に生まれた。生活は苦しかったが、幼少期の苦労が自分の政治的信念の基礎になったと自負している。独学で司法試験を突破し、労働者の権利や社会正義を守る弁護士として頭角を現した。
その経歴は、同じ革新系で大統領を務めた盧武鉉(ノ・ムヒョン)と文在寅(ムン・ジェイン)の軌跡に似ている。盧も文も貧しい家庭に育ち、正式に法学を修めることなく司法試験に合格。この国の民主化初期には労働者と人権を守る弁護士として活躍した。