韓国次期大統領の最右翼「李在明の正体」民主主義の破壊者?それとも庶民の救済者? 

Lee Jae-myung’s Strategic Bet

2025年4月16日(水)15時38分
スティーブン・デニー(ライデン大学准教授)
韓国次期大統領の最右翼「李在明の正体」民主主義の破壊者?それとも庶民の救済者? 

韓国大統領選への出馬を正式に表明した野党「共に民主党」の李在明 KIM JAE-HWANーSOPA IMAGESーREUTERS

<ついに尹錫悦が罷免され大統領選が6月に。最有力候補は苦労人だが汚職疑惑のあるポピュリスト。次期大統領の座に最も近い男の素顔>

いったい韓国の民主主義はどこへ行くのか。カギを握るのは李在明(イ・ジェミョン)という男だ。

現職大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)は去る4月4日に、憲法裁判所によって罷免された。昨年12月の唐突な「非常戒厳」宣布を違法として弾劾した議会の判断が追認された形だ。


次の大統領を決める選挙は6月3日に実施される。真っ先に手を挙げたのは革新系の最大野党「共に民主党」を率いる李在明。民主主義の守護者と称賛される一方で、保守派からは過激なイデオロギーで社会の分断を助長する危険人物と見なされている。

現時点の世論調査では、誰が相手でも李が圧倒的に有利とされる。確かに支持基盤は強固だ。しかし、党派色をむき出しにして対立をあおる李の政治手法に不安を抱く穏健派の有権者も多く、国民的な人気と呼ぶには程遠い。

李は韓国中部の安東市で貧しい家庭に生まれた。生活は苦しかったが、幼少期の苦労が自分の政治的信念の基礎になったと自負している。独学で司法試験を突破し、労働者の権利や社会正義を守る弁護士として頭角を現した。

その経歴は、同じ革新系で大統領を務めた盧武鉉(ノ・ムヒョン)と文在寅(ムン・ジェイン)の軌跡に似ている。盧も文も貧しい家庭に育ち、正式に法学を修めることなく司法試験に合格。この国の民主化初期には労働者と人権を守る弁護士として活躍した。

展覧会
京都国立博物館 特別展「日本、美のるつぼ」 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国株を「愛国買い」する個人投資家、対米

ビジネス

仏総合PMI、4月速報47.3に低下 サービス業が

ビジネス

日銀、金融政策は維持の公算 利上げスタンスも継続へ

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月速報50.1に低下 サービ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 4
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 8
    日本の人口減少「衝撃の実態」...データは何を語る?
  • 9
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 10
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中