中国との戦争は避けられるか――米国が描く対中抑止と経済デカップリング戦略
Why Trump's War With China is Much Bigger Than Trade
また、中国の影響力が強まっているとしてトランプが「パナマ運河を取り戻す」と述べているのも、この戦略転換の延長線上にある。中南米で急拡大している中国の権益を後退させようという大きな動きの一環であり、中国共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙、環球時報はこれを「アメリカによる近隣諸国いじめ」と評している。
アメリカの対グリーンランド政策も同様で、北極海で中国の活動が活発化していることが背景にある。
もっと目に付きにくい徴候もある。米政府は中国にいる政府職員とその家族に対し、中国国民との恋愛もしくは性的関係をもつことを禁じたとされる。また中国も国民に対し、渡米にはリスクがあるとして注意喚起を行っている。
一方で、アメリカは中国に対して軍事的な優位を得るために、艦船の建造を拡大する計画だ。中国はアメリカを大きく上回るペースで艦船の建造を行っており、中国海軍は部分的には米海軍を上回る規模となっている。
トランプは国防予算を1兆ドルに増やすことを求めるとともに、アメリカは「世界で最も強力な兵器」を持っていると具体的な名称は挙げずに中国に警告した。一方で中国も、保有する核兵器を急いで増やそうとしている。