中国との戦争は避けられるか――米国が描く対中抑止と経済デカップリング戦略
Why Trump's War With China is Much Bigger Than Trade
米中両国ともに人工知能や宇宙開発に巨費を投じており、未来の戦争は過去の戦争とは大きく異なるものになるだろうというのが軍事アナリストらの見方だ。超音速ミサイルやドローン、それにサイバー攻撃が戦争のありようを大きく変える役割を果たすかもしれない。
中国はずっと以前から、アメリカの電気通信などの重要インフラに対するハッキングを行っているというのがアメリカ側の主張だ。いざという時に民間と軍事両方のシステムを機能停止に追い込むことを狙った「システム内寄生戦術」または「現地調達型攻撃」と呼ばれる作戦や軍事的な「事前配備」を行っているというのだ。
最も衝突が起きそうなのは台湾かも知れない。中国は台湾を不可分の領土と見なしており、侵攻も辞さないという立場だ。だが米中の摩擦が起きているのは台湾だけではなく、両国の競争は世界的な規模で展開している。
貿易戦争でより大きな痛手を負うのはアメリカなのか中国なのかという議論の結論は出ていない。だが貿易戦争が経済に与える影響は、今後両国が軍事的増強や技術開発を進めていく力をも左右するだろう。
中国の被る痛手が大きければ大きいほど、中国が台湾などに対して軍事行動に出るのは難しくなるかも知れない。トランプ関税の発動後、人民元の対ドルレートは17年ぶりの安値を付けた。