「殺人予測AI」抑止か差別か、揺れる未来の犯罪防止プロジェクト

イギリスの犯罪抑止策が論争の的に AP/AFLO
<「未来の犯罪者をAIが選別する」──そんなディストピア的構想が、イギリスで現実になろうとしている...>
犯罪抑止の切り札か、プライバシー侵害と差別を助長する悪魔のツールか──イギリス政府が立ち上げた「殺人予測プロジェクト」が激しい論争を呼んでいる。
このプロジェクトは、警察や保護観察所から提供された個人情報をAI(人工知能)が分析し将来的に殺人を犯す可能性の高い人物を特定するもの。スナク前政権時に開発が始まり、現在は「リスク評価の改善を目的としたデータ共有」に名称変更されている。
英司法省は、現時点では研究目的の利用に限られており、対象者は「過去に少なくとも一度は有罪判決を受けた者」に限定されるとしている。
だが、情報公開請求によってプロジェクトの存在を明らかにした英人権団体ステートウォッチは、犯罪被害者など治安当局と接点を持った人々にも拡大適用されるリスクを懸念している。
また、特定の民族や貧困層などに対する予測に偏りが生じる可能性も指摘し、「冷徹でディストピア的」な発想だと猛批判した。

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