韓国空軍基地で数千枚の写真撮影して逮捕された中国人高校生「父は中国の公安」
軍事機密を狙った広範囲の撮影作戦
捜査で明らかになった彼らの行動範囲は驚くべきものだった。この水原空軍基地をはじめ平沢(ピョンテク)烏山(オサン)など、韓国の空の守りを担う主要軍事施設4カ所を巡り、さらには国際空港3カ所までもターゲットにしていた。
彼らが所持していたデジタル一眼レフカメラとスマートフォンからは、最新鋭のF-35ステルス戦闘機を含む数千枚もの軍事施設の写真が発見された。これは単なる趣味の域を超えた計画的かつ組織的な情報収集活動の疑いを強く抱かせるものだ。
この事態を重く見た京畿南部警察庁安保捜査課、国家情報院、国軍防諜司令部は特別協議体を結成。「飛行機の写真を撮るのが趣味だ」と主張する容疑者たちの言葉の真偽を見極めるべく、写真の用途や背後関係の徹底調査が進められている。A君の中国公安という家庭環境との関連性も捜査の重要なポイントだ。
頻発する軍事機密への接近
今回の問題が深刻に捉えられているのはこれが単独の事件ではない、という点だ。昨年6月には中国人留学生3人が釜山に入港したアメリカの航空母艦をドローンで無断撮影、同年11月には国家情報院の庁舎を撮影していた中国人が摘発されるなど、中国人による韓国の軍事・安全保障施設への不審な接近が相次いでいる。
さらにはこの3月29日には現役の韓国軍兵士から軍事機密と非公開資料を収集してきた中国人グループのメンバーが逮捕される事件も発生している。彼らに情報を渡していた兵士は、軍内部のイントラネットに掲載された韓米合同軍事演習の進行計画などを渡していたという。
表面上は無邪気な行動の裏に潜む、国家間の緊張関係と諜報活動の影。韓国の安全保障に新たな課題を突きつける事態は、今後どのような展開を見せるのか。捜査の行方に注目が集まっている。