韓国の分断は野党「共に国民党」が勝っても変わらない?【尹大統領 弾劾罷免】

Yoon Ousted in Korea

2025年4月7日(月)19時00分
ミッチ・シン(ディプロマット誌韓国特派員)

尹の弁護団は、弾劾訴追に手続き上の不備があったとも訴えてきたが、そうした主張も全て退けられた。軍部隊に選挙管理委員会を捜索させたこと、非常戒厳の布告に伴い、国民の政治活動を制限したことも違法と判断された。

要するに、12月3日に尹が取った行動はことごとく違法とされたのだ。そして、その違法性は極めて重大であり、大統領罷免に値すると、憲法裁は判断した。


韓国メディアによると、尹は4月4日夕方、大統領公邸を訪れた与党「国民の力」の幹部たちに対して、党が一致結束して「大統領選に勝利してほしい」と語ったという。

尹は罷免が決まった後、国民の期待に沿えず申し訳ないという謝罪のコメントを発表している。しかし、尹はこれまで約4カ月の間、自身の非常戒厳布告に端を発する政治的・法的責任を逃れようとし続けてきた。

韓国の政治アナリストたちの間では、次の大統領選に国民の力が候補者を立てることの妥当性を疑問視する声もある。韓国の歴史上でこれまでに弾劾罷免された大統領は2人とも、同党および同党の前身政党の出身者だったためだ。

与党幹部に反省の色は?

国民の力の臨時執行部のトップである権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長は4日、「憲法裁の決定を謙虚に受け入れる」と発言。同党が与党としての役割を十分に果たせなかったことを国民に陳謝した。

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