アサドが消えても混乱続く...シリア国民が考える、復興に必要なもの
THE AFTERMATH OF A TRAGEDY
町の外れにあるアサド一家の巨大な聖廟は、HTSによって壁に落書きされ、内部は焼き払われていた。
「アサドがいなくなって喜ぶのは分かるよ。でも焼き払って壁にまで落書きをするのはなぜかよく分からない。観光資源にもなるのに」
地元の案内人がそうぶつやいた。彼はカルダハにルーツのあるアラウィ派である。
「暫定政権はもともとはアルカイダだったのだし、アサド政権のほうがましだとは思う。でも、アサドがよかったとも思っていない。自分も7年近く徴兵されていて時間を失ったと感じているし、仲間と共にこっそりアサド政権を批判する話はしていたからね」
このように特定の勢力を支持するわけでもなく、揺れ動く考えを抱いている人もいる。
カルダハに暮らすアラウィ派の宗教指導者カーセル・ヘルベックが、HTSが来た当初の様子について話してくれた。
「初めは問題もあった。HTSからアラウィ派を罵ったりする言葉を投げかけられた。無視をしてもあおってくるのだ。しかし、年長者が落ち着かせた。今は、HTSの幹部と話し合いをし、状況がよくなるように努めている」
14年近くに及んだ戦争の中で、アサド政権の側に立っていたと見なされるアラウィ派に恨みを抱くHTSの兵士もいるだろう。HTSは公式の立場としては、宗派の多様性を尊重し、前政権の関係者であっても、犯罪を犯した者でない限り、受け入れるとしている。