金正恩を激怒させた映画とは?...「激おこ」独裁者たちによるサイバー覇権戦争
報道記者たちは、こうした生々しいメールを楽しんでいるようであった。〔ソニーへの〕攻撃が発覚したとき、ホワイトハウスのスタッフが「大統領、セス・ローゲンの駄作映画のブリーフィングをすることになるとは思いませんでした」と、オバマ大統領に語った。
「その映画がどうして駄作だとわかるんだい?」と、オバマ大統領は尋ねた。それに対し、スタッフは「はい、これはセス・ローゲンの映画だからです......」と答えたという。
だがオバマ大統領とそのチームは、このハッキングが笑い事では済まされないことを承知していた。この攻撃はソニー社のコンピュータの4分の3近くを破壊した。そしてアメリカ人従業員の生活も狂わせてしまった。
それもこれも、独裁者の嫌いな映画の製作に起因していたのである。
ジェイコブ・ヘルバーグ (Jacob Helberg)
パランティア・テクノロジーズ社CEO上級政策顧問。米中経済安全保障調査委員会(USCC)の委員や新アメリカ安全保障センター(CNAS)のテクロノジー・国家安全保障プログラムのシニアフェローも務める。2016年から2020年までグーグル社にて対偽情報・外国政府介入のための製品ポリシー策定に従事。ジョージ・ワシントン大学で国際問題の学位を取得後、ニューヨーク大学でサイバーセキュリティの修士号を取得。2024年12月、翌年発足の第二次トランプ政権の国務次官(経済成長、エネルギー、環境問題担当)に指名された。
『サイバー覇権戦争──ソフトとハード、二つの戦線』
ジェイコブ・ヘルバーグ[著]
川村幸城 [訳]
作品社[刊]
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