7回繰り返した自殺未遂について、このホームレス男性は穏やかな顔で語った
そこで、以前北千住で拾った殺虫剤を一気に飲んだという。橋脚の下に横たわり、しばらく気を失った後、お腹がとてもつらくなった。しかも、そのつらさは数日続いた。彼はその後、殺虫剤を触ることさえ嫌になった。
どう思ったのか...「死ななくてよかった」
私は思い切って、「自殺に成功していないことにがっかりしたのか、それとも死ななくてラッキーだと思ったんですか」と聞いてみた。
征一郎さんは、こう答えた。
「当初は自分がどうしてまた自殺に失敗したのかと残念に思っていましたが、しばらくすると体が元気になって、またアルミ缶を拾ってお金を得ることができるようになり、死ななくてよかったと思うようになるんです」
人は、自殺しようが、病気や事故で死のうが、生き返ることはできない。
誰も死をないがしろにはしないし、してはいけない。
本文の終わりに、私は皆さんにひと言、伝えたい。
生命は落ち葉のように散り、死は必然的な帰着地である。今を大切にしてこそ、この生を後悔せずに終えられるだろう。
※続きはこちら:7回の自殺未遂を経験しながら、若者の自殺を止めたホームレスの死生観
相談窓口「日本いのちの電話」
厚生労働省は悩みを抱えている人に対して相談窓口の利用を呼びかけています。
0570・783・556(10:00~22:00)
0120・783・556(毎日 16:00~21:00、毎月10日 8:00~翌日8:00)
[筆者]
趙海成(チャオ・ハイチェン)
1982年に北京対外貿易学院(現在の対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。1985年に来日し、日本大学芸術学部でテレビ理論を専攻。1988年には日本初の在日中国人向け中国語新聞「留学生新聞」の創刊に携わり、初代編集長を10年間務めた。現在はフリーのライター/カメラマンとして活躍している。著書に『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)、『私たちはこうしてゼロから挑戦した──在日中国人14人の成功物語』(アルファベータブックス)などがある。

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