7回繰り返した自殺未遂について、このホームレス男性は穏やかな顔で語った
他の2回は、いずれも薬の量が足りず失敗した。彼が飲む睡眠薬は、ゴミの中から拾ったもので、多くても100粒、少ないときで20粒くらいだった。
住民が捨てるゴミの中には、賞味期限切れの食品やタバコ、酒、飲み物といった物だけではない。少々不気味なことに、睡眠薬という簡単には処方されない薬も混ざっている場合がある。
ゴミの中から「宝探し」することは、容易ではない。ゴミ袋を一つ一つ開けなければならず、手間がかかる。住民の反感や不満を買うことにもなる。多くのホームレスはそんなことをする勇気もないし、したくもないのだ。
しかし、「天は人の道を絶たず」(中国語では「天无絶人之路」と表す)。たまに、賢いカラスが助けに来てくれるという。食べ物を探すために、尖ったくちばしでビニール袋ごとくわえると、袋が破れて薬品や食品などが現れる。
征一郎さんが飲んだ睡眠薬は、ほとんどこのようにして手に入れたという。
睡眠薬を何度飲んでも死ねなかった征一郎さんは、それらがすべて有効期限切れの薬だったか、死ぬことができないような処方になっていたのか、どちらかだろうと思っている。
生きることに絶望し、餓死や殺虫剤でも自殺を図った
十日間、何も食べずに命を落とそうと企んだこともある。
食べ物は我慢できたが、水を飲まないことには耐えられなかった。ましてや、彼が寝ている公園のベンチのそばには蛇口があった。このような誘惑の多い餓死の方法は、失敗しないほうがおかしいだろう。
最後に自殺未遂をしたのは、3年前だという。
嵐が来て、征一郎さんのテントをバラバラに吹き飛ばしてしまった。夜中に寝ることができなかったのに加え、飢えと寒さに耐えきれず心身ともに疲れ果てた征一郎さんは、生きることに絶望した。