「女子のくせに。」悔しい気持ちを原動力に...澤穂希と「誰もが個性を発揮できる未来」を考える
澤 私は昭和生まれなので「男性が働き、女性は家庭に入る」という価値観のなかで育ってきました。でも、今は状況が変わり、男女ともに働いて活躍している姿を見るとうれしくなります。
亀井 実は日本の女性(15〜64歳)の就業率は72.4%と世界トップクラスです。世界平均は48.3%、高いといわれるカナダが61.0%、お隣の韓国が55.0%なので、いかに高い数字か分かると思います。ただ、日本の女性の給与は男性の7〜8割しか支払われておらず、これは先進国でも最大級のギャップです。子育てや介護などのケアワークをしている時間を見ても、日本は女性が男性の5.5倍。世界平均の2.7倍より多く、女性が仕事に加えて子育て・介護といった無償労働の大半を担っている状態です。
澤 まだ、「女性が子育てをするもの」と思っている人がいるのかもしれません。でも、子どもは夫婦の子どもなんだから、一緒に子育てをしていくべきですよね。
亀井 そうですね。男性も変わっていかなければ、子育てにおける協力も進まないですし、ジェンダーギャップは無くなりません。子育てにおけるジェンダーバイアスの排除という面において、JICAでは母子手帳に父親が参加するイラストを載せるなどで、男性の参加を促しています。また、イスラム教の国では女性は一人で外出ができないため、予防接種の必要性について父親にも理解してもらうという取り組みをしています。男性、女性が共に協力することが当たり前になってほしいですね。
可能性を閉ざさず、誰もが個性を発揮できる未来へ
亀井 ジェンダーギャップを解消するにはジェンダーバイアスの存在に自覚的であることも重要です。ジェンダーバイアスは男性も女性も無意識に持っています。例えば、日本は理工系の学部に女子が少なく、最近はその是正のために女子の入学枠を設置する大学も出てきました。しかし、そもそも男子と女子に数学的な学力の差はないことが統計的にも確認されています。
それではなぜ、理工系に進学する女子が少ないのか。それは、小さいときから周囲の大人が「女子に理系は無理、無駄」と言ったり、期待していなかったりして「アスピレーションのクーリングダウン(意欲の冷却効果)」が起こっていることが一因です。「期待されていない自分には無理だ」と思い込んでしまう。明示的でないにしても女子は期待されていないという社会的構造によるバイアスは大きな問題なのです。
澤 確かに一昔前はサッカーも「女子には無理」という雰囲気で、可能性が閉じられていました。