最新記事
教育費

春に上京する大学新入生を直撃する、学費と下宿費のダブルの負担

2025年2月12日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)
マンションの空き部屋

単身用物件でも東京都心3区では家賃中央値が9万円を超える(画像はイメージ写真) photoAC

<大学の都心回帰が進んでいるが、都心で部屋を借りれば一人部屋でも家賃7万円は下らない>

大学受験のシーズンだが、わが子の合格を喜ぶのもつかの間、費用負担の心配が頭をもたげてくる。まずは入学金だ。国立大学の後期日程の合格発表まで入学手続きを待ってくれない私立大学が多く、30万円ほどの入学金を二重払いさせられるケースもある。

その次は住居費。地方から都会の大学に進学する場合、アパート等に下宿することになるが、部屋の契約には敷金・礼金が要る。家具一式も揃えないといけない。また在学中を通して毎月家賃を払う必要もある。自宅から通わせられる家庭と比べて負担が大きい。

2023年の総務省『住宅土地統計』に、一人暮らし部屋(延べ面積30㎡未満)の月家賃分布が出ている。これをもとに中央値を計算すると、ちょうど5万円。だが地域差があり、都市部ではもっと高い。一人暮らし部屋の家賃中央値を都道府県別に計算し、高い順に並べると<表1>のようになる。

newsweekjp20250212015125-09ea205208e4f0eba77ebb0b36206ae5678df90e.png


全国値は5万円だが、都道府県別にみると大きな差がある。最も高いのは東京で6.8万円、最も低いのは青森で3.3万円。倍以上の違いだ。言わずもがな、下宿学生が多いのは、大学が集中している東京のほうだ。

東京の家賃年額は81.6万円。光熱費も加えると100万円は超えるだろう。これは私立大学の年間授業料と同じくらいの額で、下宿学生は自宅学生の倍の負担を強いられることになる。所得水準が低い地方の家庭にとって、このダブルの負担(学費+下宿費)は重い。この問題が認識されてか、下宿学生の家賃補助をする大学も出てきている。

展覧会
京都国立博物館 特別展「日本、美のるつぼ」 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、対米摩擦下で貿易関係の多角化表明 「壁取り払

ワールド

中国とベトナム、多国間貿易体制への支持を表明 鉱物

ワールド

IEA、今年の石油需要見通し下方修正 貿易摩擦で

ビジネス

ユーロ圏の銀行、企業向け融資を厳格化 経済見通し懸
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
  • 3
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができているのは「米国でなく中国」である理由
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 6
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 9
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中