最新記事
アイアンドーム

ロシアが本気になれば1000発以上の核弾頭が降ってくる...米国版「アイアンドーム構想」の実像とは

DONALD TRUMP’S IRON DOME?

2025年1月22日(水)19時04分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)

ロシアが本気でアメリカに攻撃を仕掛けてきたら、アメリカ本土、とりわけ戦略核兵器の所在地に向けて1000発以上の核弾頭が降ってくるだろう。

そうなると、1発ずつ迎撃しつつ反撃用ミサイルの被弾を防ぐという寄せ集め的なアプローチでは間に合わないとスーファーは言う。

だから国防総省は「敵の開発能力を上回るために宇宙センサーやSBI(宇宙ベースの迎撃ミサイル)、指向性エネルギー兵器など物理的破壊を伴わない選択肢、将来の革新的な能力を開発するための投資にもっと重点を置くべきだ」と、報告書にはある。


ただし懐疑的な意見もある。「いったん宇宙空間にシステムを配備し始めたら、もう止まれない」とアルバークは言う。

「ロシアや中国が追随するのは必至だ」

言うまでもなく、ロシアも中国もミサイル迎撃システムの強化に励んでいる。

スーファーの報告書によれば、そうした迎撃システムは「ロシアと中国に非対称的な優位性をもたらす可能性がある。ロシアと中国の国土防空・ミサイル防衛の拡大は特定の状況における軍事バランスに影響を与え、アメリカの数少ない選択肢を混乱させかねない」。

ロシアと中国は早期警戒衛星の開発で協力し、ロシアの防空における優位性と中国の宇宙探査における経験知を融合させている。今は宇宙軍拡競争の真っただ中だ、とアルバークは警告する。

「スタート地点だと思うのは間違いだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 7
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 8
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 7
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 8
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中