最新記事
トランプ2.0

「信頼失墜」のメディア...トランプ再登場で試される「報道戦略」

Mainstream Media, Bruised and Battered, Prepares for Trump 2.0

2025年1月17日(金)15時50分
ヘスス・メサ

来週の大統領就任式を前に、紙媒体は報道方針を調整しているが、かつてワシントンの政治議題を主導していたケーブルニュースは、変化するメディア環境の中で立ち位置を見失っている。火曜日には、MSNBCの視聴率低迷を受け、同局社長のラシダ・ジョーンズ氏が辞任した。

MSNBCはリベラル視聴者の呼び戻しを狙い、看板キャスターのレイチェル・マドー氏を夜9時枠に週5回復帰させ、トランプ氏の最初の100日間を集中的に報道する戦略に出た。メディア分析家リアム・ライリー氏は「これは巧妙な戦略だが、同時にMSNBCが視聴率低迷に苦しんでいることの証でもある」と指摘する。

2024年選挙の教訓は、ゴールデンタイムの番組編成にとどまらない。ポッドキャストが世論形成に与える影響力を認識し、MSNBCはバイデン政権の元報道官で現在番組を持つジェン・サキ氏がホストを務める新しいポッドキャストの開始や、デジタル重視の番組展開を発表した。一方、Foxニュースは「ローガンスタイル」の形式を導入し、退社したベテランキャスター、ニール・カヴート氏の番組枠にはウィル・ケイン氏の新たな午後4時番組が登場予定だ。

こうした変化にもかかわらず、メディアが直面する現実は厳しい。視聴者はもはやトランプ氏や伝統的なメディアに以前ほど関心を示していない。Digidayによると、ニュース媒体は過去の選挙期間と比べて、トラフィックの増加がはるかに小さいという。これは「ニュース疲れ」の拡大と、YouTubeやSubstackなどのプラットフォームで活躍する独立系クリエイターの台頭が要因だ。

セズノ氏は「2016年から多くが変わった。メディアは長らく信頼性の問題に苦しみ、インターネットとSNSの台頭がその低下を加速させた」と述べる。

今、主流メディアに課せられている課題は、単にトランプ氏を報道することではない。信頼が揺らぎ、関心が薄れ、視聴者が離れつつある時代に、どのようにニュースを届けるかという根本的な変革が求められている。

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防

ワールド

アングル:トランプ氏のカナダ併合発言は「陽動作戦」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 10
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 9
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 10
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中