最新記事
ロシア政治

スパイを国民のヒーローに...プーチンの巧妙な「心理作戦」の真相

GONZO INTELLIGENCE

2025年1月16日(木)09時41分
ブレンダン・コール(本誌記者)

「しかもサイバー攻撃や情報操作、放火などは通常の軍事作戦と比較にならないほど安上がりだ」とコフは言う。「だから西側諸国の指導者が何か言えば、ロシアはすぐに反応してハイブリッド攻撃を繰り出せる」

ウクライナ戦争が始まって以来、欧州諸国からは外交官を装ったロシアの工作員600人以上が追放された。しかしEUの外交旅券さえあれば、今でもロシアのスパイはEU圏内には自由に行ける。

そうして現地の犯罪組織に金を渡せば、破壊工作やサイバー攻撃を「外注」できる。


実際、ロイター通信の伝えるところでは、ロンドンでウクライナ関連施設に放火して逮捕されたイギリス人の男は、外国の諜報機関から報酬を得ていたと自供している。

「一般の犯罪者にスパイの下請けをさせるなんて危険すぎるし、どんなに恐ろしい結果を招くか分からない」と、エストニアのコフは言う。

警察と特殊部隊は国内外で安全保障の分野で協力していると、彼は強調する。「ロシアの活動が欧州各地で監視され、明らかにされることが重要だ」

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送-モルガンS、10─12月期利益が2倍超に増加

ワールド

トランプ氏、米でTikTok運営維持目指す意向=次

ワールド

アジアのヘッジファンド、24年の運用成績は15年ぶ

ビジネス

インフレ抑制傾向が続く場合は早期利下げも=ウォラー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 2
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の超過密空間のリアル「島の社交場」として重宝された場所は?
  • 3
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 4
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    トランプの「領土奪取」は暴論にあらず。グリーンラ…
  • 7
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 8
    韓国ユン大統領、逮捕直前に気にしていたのは意外にも…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    韓国の与党も野党も「法の支配」と民主主義を軽視し…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も阻まれ「弾除け」たちの不満が爆発か
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 6
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 7
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中