最新記事
東南アジア

もうグローバル経済の「傍観者」ではない...マレーシア首相が語る、ASEANが世界経済にもたらす成長と繁栄

SOUTHEAST ASIA

2025年1月12日(日)15時10分
アンワル・イブラヒム(マレーシア首相)

東南アジア諸国に迫る新たな変革の時

今後予定される湾岸協力会議(GCC)加盟国や中国との首脳会議などの動きは、経済的・戦略的ネットワークを域外に拡大する意図を示している。

これらのパートナーシップは、外国投資の誘致、市場アクセスの拡大、インフラの改善を約束するものであり、製造業と物流の促進を目的とするマレーシアの「新産業マスタープラン2030」にも沿うアジェンダだ。コロナ禍はグローバルサプライチェーンの脆弱さを明らかにし、ASEANがパートナーシップを多様化することにより、こうしたリスクを軽減する必要性を示した。


ASEANの強靱性強化戦略の特に重要な要素は、DX(デジタルトランスフォーメーション)だ。AI(人工知能)、ブロックチェーン、ビッグデータ分析などの先端技術を導入し、サプライチェーンの透明性とリスク管理の向上を目指す。

私は30年前、アジアの知的、文化的、社会・政治的復興に関する著書『アジアのルネサンス』を執筆した。エシカル(倫理的)経営と発展の共有に支えられた東南アジアには現在、新たな変革の時が迫っている。

ASEANはグローバル経済の傍観者にはならない。むしろガバナンスや経済モデル、文化によって世界経済に影響を与えていく。ASEANの台頭は具体的な成果をもたらさなくてはならない。その成果とは平和、正義、繁栄の拡大だ。

©Project Syndicate

newsweekjp20250110053348-c0d26bf13c6dbdce66c8c0eed96369c457523ab7.jpgアンワル・イブラヒム
ANWAR IBRAHIM
マレーシア首相。人民正義党党首。マハティール政権で教育相や財務相、副首相など要職を歴任。2022年より現職。

ニューズウィーク日本版 トランプショック
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

LVMH陥落でエルメスが首位に、欧州高級ブランド時

ワールド

原油先物は下落に転じる、貿易戦争の影響見極め

ビジネス

中国GDP、第1四半期は前年比+5.4% 消費・生

ビジネス

報復関税、中国の医薬品価格押し上げか 大手各社が米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    そんなにむしって大丈夫? 昼寝中の猫から毛を「引…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中