LVMH陥落でエルメスが首位に、欧州高級ブランド時価総額

フランスの高級ブランド、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は15日、欧州の高級ブランド企業として時価総額首位の座をエルメスに明け渡した。パリで昨年3月撮影(2025年 ロイター/Gonzalo Fuentes)
[パリ 15日 ロイター] - フランスの高級ブランド、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は15日、欧州の高級ブランド企業として時価総額首位の座をエルメスに明け渡した。失望を誘う内容だった第1・四半期決算を受け、投資家の間で悲観的な見方が広がった。
傘下に「ルイ・ヴィトン」、「ディオール」、「ティファニー」、「セフォラ」などのブランドを抱えるLVMHが14日発表した第1・四半期決算は、売上高が前年同期比3%減となり、市場予想の2%増を大幅に下回った。米国の消費者が化粧品や酒類の購入を控えた上、中国の販売も低迷を続けた。
LVMHの株価は約7%下落して時価総額は2460億ユーロに減り、エルメスの2470億ユーロを下回った。
モーニングスターのシニア株式アナリスト、ジェレナ・ソコロバ氏は15日のLVMHとエルメスの株価動向について「両社の間で広がりつつある業績の差と投資家心理を反映している」と述べた。
同氏は、LVMHは高級ブランドでも価格帯が低い分野の比重が増えた一方、エルメスは富裕層の顧客基盤により業界全体の低迷を乗り切ることができていると説明した。
RBCのアナリスト、ピラル・ダドハニア氏はLVMHの業績悪化から「より広範な高級ブランド部門にとって販売環境が一段と厳しくなっている」ことがうかがえると指摘。同氏はLVMHの今年の基調的売上高の見通しを従来の3%増から横ばいに下方修正した。
投資家は高級ブランド部門が今年、低迷から脱却すると期待していたが、貿易面の緊張により世界的な景気後退に陥るとの懸念が強まっている。