最新記事
宇宙

ネットで信仰復活、「NASAが南極でパラレルユニバースを発見」説はどこからきたか

Why Do People Think NASA Has Discovered a 'Parallel Universe'?

2024年12月24日(火)18時06分
トム・ハワース
パラレルユニバース(イメージ)

夢を掻き立てるパラレルユニバース(イメージ)Stockbym/Shutterstock.

<「証拠不十分」と言われてもあきらめきれない「もう一つの宇宙」への夢>

最近、ソーシャルメディアを渉猟していた人なら、「NASAが南極でパラレルユニバース(並行宇宙)を発見」とするセンセーショナルな主張を見たかもしれない。

これらの主張によると、このパラレルユニバースは、ビッグバンのときに私たちが暮らす宇宙と対を成す形で形成され、私たちの視点から見ると過去と未来がさかさまになっているのだという。

これらの主張に、何らかの真実は含まれているのだろうか? NASAは本当に、私たちの住む宇宙と対をなし、しかも時間が逆方向に流れる宇宙を見つけたのだろうか?

先にはっきりさせておくが、NASAはパラレルユニバースを発見していない。ソーシャルメディアで流れている主張は、新たな科学的発見に基づいたものではなく、過去の研究を蒸し返したものだ。

論争の起源は2020年にさかのぼる。この時、南極衝撃過渡アンテナ(ANITA)が、素粒子ニュートリノの異常な挙動を検知した。

このANITA実験で発見された事象は、確かに首をひねりたくなるようなもので、これを知った科学者たちは、考えられる理由について理論化を試みた。この発見を受けて発表された論文に掲載されたある仮説では、「CPT対称宇宙」が存在する可能性が示唆された。その宇宙では、私たちの宇宙とは逆の方向に時間が流れている可能性があるという。

試写会
米アカデミー賞候補作『教皇選挙』一般試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

スウェーデン、バルト海の通信ケーブル破壊の疑いで捜

ワールド

トランプ減税抜きの予算決議案、米上院が未明に可決

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、2月50.2で変わらず 需要低

ビジネス

英企業、人件費増にらみ雇用削減加速 輸出受注1年ぶ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 9
    ハマス奇襲以来でイスラエルの最も悲痛な日── 拉致さ…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中