最新記事
宇宙

ネットで信仰復活、「NASAが南極でパラレルユニバースを発見」説はどこからきたか

Why Do People Think NASA Has Discovered a 'Parallel Universe'?

2024年12月24日(火)18時06分
トム・ハワース

「このシナリオにおいては、ビッグバン以前の宇宙と、ビッグバン以降の宇宙が、無から生成された一対の宇宙/反宇宙として再解釈される」と、この論文の著者たちは書いている。

この発見は当初、科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」に取り上げられた。その記事のタイトルは、「我々は、時間が逆に流れる並行宇宙を見つけたのかもしれない」というものだった。

ここからネットの暴走が始まった。デイリー・スターやニューヨーク・ポストなどのタブロイド紙が、危険なほどの確信をもって「これはパラレルユニバースが存在する証拠だ」と主張し始めたのだ。

しかしこれらの記事は、非常に重要な、都合の悪い事実にあえて触れていない。それは、ANITAの実験結果はさらなる調査が必要で、そうした宇宙が存在することを裏付ける決定的なエビデンスをもたらすものではない、という点だ。

2020年当時、ANITAの実験データ分析に関わっていた研究者の1人、アレックス・ピッツートは、これらの記事の誤りを当時のツイッター(現在のX)でこう指摘した。

「南極上空を飛ぶ観測装置ANITAが、奇妙な信号を検知した。その信号は、現存の物理学モデルで解釈するのは、不可能ではないとしても、難しい信号だった」

読者プレゼント
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』独占試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロが電力インフラに大規模攻撃、「非人道的」とゼレン

ワールド

カザフスタンで旅客機墜落、67人搭乗 32人生存

ワールド

日中外相が会談、安保・経済対話開催などで一致

ビジネス

政府経済見通し24年度0.4%に下げ、輸出下振れ 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシアの都市カザンを自爆攻撃
  • 3
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリスマストイが「誇り高く立っている」と話題
  • 4
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 5
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立て…
  • 6
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 7
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 8
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 9
    「オメガ3脂肪酸」と「葉物野菜」で腸内環境を改善..…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 8
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 9
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 10
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中