最新記事
中東情勢

ヨルダン川西岸で拡大するイスラエル入植地...「トランプ2期目」に期待の声

2024年11月27日(水)21時23分

「イスラエルがジュデア・サマリアにも存在するという事実を固めるために、現地では多くの改革が行われてきた」と語るのは、スモトリッチ財務相が所属する会派を率いるオハド・タル議長。国会議事堂内のオフィスの棚には、「MAGA(アメリカを再び偉大に)」のロゴが入ったトランプ陣営の赤い帽子が飾られている。

タル議長は、「ジュデア・サマリアで確実に主権を行使し、ここにユダヤ人が存在し、留まり続けるという否定できない事実を確立するために」あらゆる体制を整えた、と語る。


 

かつてはイスラエル軍が所管していた入植地に関する多くの機能は、すでに文民機関である入植地管理庁に移管された。この機関を直接の指揮下に置くスモトリッチ財務相は、国防省においても、西岸地区の運営を担当する役職に就いている。

ピースナウが10月に発表した報告書によれば、2024年には約6000エーカー(2400ヘクタール)が、入植地を建設しやすい区分である「イスラエル国有地」と認定された。1年間で国有地として認定される面積として過去最大であり、過去30年間の国有地認定総面積の半分に相当する。

ピースナウによる別の分析によれば、過去1年間で少なくとも43カ所の入植用監視所が新たに整備された。なお、1996年以降の平均は年7カ所未満だ。

多くの場合、新規の監視所は既存の入植地に付属する形で、元の入植地の拡張を可能とするよう、近隣の丘陵の頂上に作られ、これを支える数キロメートルの新設道路その他のインフラが整備される。多くはイスラエル国内法によれば違法建築だが、イェシャ入植者評議会によれば、今年は約70カ所に対して政府からの支援が行われているという。

入植地の監視を行っているもう1つのイスラエル団体「イェシュ・ディン」のディレクターを務めるジブ・シュタール氏は、「見た目は非常に退屈だ。ずる賢いやり方だ」と語る。「法律を作って『西岸地区を併合する』と宣言するのではなく、ただ行動に移している」

(翻訳:エァクレーレン)



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241203issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月3日号(11月26日発売)は「老けない食べ方の科学」特集。脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす最新の食事法。[PLUS]和田秀樹医師に聞く最強の食べ方

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

共和党系11州が米資産運用大手3社提訴 電気料金つ

ワールド

イラン、レバノン停戦を歓迎 イスラエルの空爆には反

ビジネス

米国株式市場=反落、インフレ指標受けテクノロジー株

ビジネス

NY外為市場=ドル幅広く下落、祝日前にポジション調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 3
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウクライナ無人機攻撃の標的に 「巨大な炎」が撮影される
  • 4
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「健康寿命」を2歳伸ばす...日本生命が7万人の全役員…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    未婚化・少子化の裏で進行する、「持てる者」と「持…
  • 9
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 10
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中