最新記事
アメリカ政治

「眠れる有権者」ヒスパニックが目覚めた...激戦州アリゾナで語った複雑な本音とは?

LATINO AWAKENED

2024年11月20日(水)17時00分
半沢隆実(共同通信特別編集委員)
アリゾナ州トゥーソンでヒスパニック系支持者に応えるトランプ

アリゾナ州トゥーソンでヒスパニック系支持者に応えるトランプ(9月12日) AP/AFLO

<トランプ勝利の原動力になったヒスパニック有権者らの経済的苦境への強い不満。その姿は、トランプ支持者が自らを語る際の「忘れられた人々」に重なる...>

「トランプに投票した。何かを変えてもらわないと生きていけない」

35歳のカルロス・クルスは、ショッピングモールの広大な駐車場の片隅に止めた車の前で、はにかんだ表情で話した。車は両側のドアが大きくへこみ、中には色とりどりのファストフードの空き袋が散乱している。


アメリカ西部アリゾナ州フェニックス中心部に近いアルハンブラ地区。メキシコ出身で無職のクルスは、日雇いの仕事を探すために毎日この場所に通う。以前は飲食店で働いていた。

「コロナ禍以来、ずっとこんな暮らしさ」と言った瞬間、人懐こい黒い瞳から光が消えた。「政治に期待することはない。消極的トランプ派だ」と言う。

今回の大統領選で激戦州となったアリゾナは、2016年には共和党のドナルド・トランプが民主党のヒラリー・クリントンに勝利。前回20年選挙では現在の民主党ジョー・バイデン大統領が取り戻した。

結局トランプは今回の選挙でアリゾナを含む激戦州7州を制したが、地滑り的勝利の主要な理由の1つがヒスパニック(中南米系)有権者の動向だったと分析されている。

アリゾナ州は人口の約30%がヒスパニックだ。調査会社エジソン・リサーチの出口調査によれば、トランプは全国平均で前回選挙時の32%から今回は46%と14ポイントの驚異的な伸びでヒスパニック票を獲得した。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

仏3月総合PMI速報値、47.0へ上昇 企業信頼感

ワールド

アングル:米国の三権分立揺るがすトランプ氏の権力行

ビジネス

スズキ、26日から静岡県内の完成車工場を一部稼働 

ワールド

米自動車関税、4月2日発表見送りと米メディア 相互
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放すオーナーが過去最高ペースで増加中
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    ロシア軍用工場、HIMARS爆撃で全焼...クラスター弾が…
  • 5
    コレステロールが老化を遅らせていた...スーパーエイ…
  • 6
    ドジャース「破産からの復活」、成功の秘訣は「財力…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    トランプ版「赤狩り」が始まった――リベラル思想の温…
  • 10
    インド株から中国株へ、「外国人投資家」の急速なシ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャース・ロバーツ監督が大絶賛、西麻布の焼肉店はどんな店?
  • 4
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 7
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 8
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中