トランプに消される「アメリカの声」...強権国家は大喜び

トランプが縮小を決定したVOAの本部前で、トランプの決定に抗議する男性 ANDREW LEYDENーNURPHOTOーREUTERS
<トランプによるボイス・オブ・アメリカの解体は、アメリカの敵を利するだけ>
中国は大喜びだ。トランプ米大統領が3月14日、米政府系放送局、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)などを統括する米グローバルメディア局の機能縮小を命じる大統領令に署名した。
VOAは長年、国外の独裁政権の主張に反論し、反体制派の声を伝えてきた。1942年、ナチス・ドイツなどに対抗するために設立され、今では100カ国以上でニュースを配信。解体すれば強権的国家の思う壺だと、批判の声が上がっている。
一方、中国政府系メディアの環球時報は「中国についての悪意に満ちた偽情報」を報じてきたVOAが「自国政府にぼろ布のように切り捨てられている」と歓迎した。
国境なき記者団のティボー・ブルタン事務局長は3月17日、中国やロシアが「好き勝手にプロパガンダを拡散する」未来を告げる「恐ろしいシグナル」だと警告。世界各地で拘束中のジャーナリスト9人をはじめ、大勢が危険にさらされると懸念している。