最新記事
アメリカ政治

「眠れる有権者」ヒスパニックが目覚めた...激戦州アリゾナで語った複雑な本音とは?

LATINO AWAKENED

2024年11月20日(水)17時00分
半沢隆実(共同通信特別編集委員)

newsweekjp20241120015155-a2a1e0950d2bd378db330eac85a035cd6826e599.jpg

壊れた車が放置されたフェニックス中心部アルハンブラ地区のショッピングモール TAKAMI HANZAWA

クルスと出会ったアリゾナのアルハンブラは、ヒスパニック住民が多いフェニックスでも、特に彼らの密集度が高い地域とされる。街角には中南米系の料理店や衣料品店が並び、道行く人々の姿も大半がヒスパニックで活気も感じられる。

しかし、この地域の生活の厳しさはすぐに見て取れる。駐車場には事故車なのか、前面や側面が大破した車両が多数放置されている。あちこちの地面には、割れた車のウインドーガラスが粉々になって落ち、一目でよそ者と分かる記者への冷たい視線も感じた。


不法移民対策に共鳴する

投票権を持たない人々を含めて、ヒスパニック住民らと話すと、コロナ禍を境に加速した経済的苦境への強い不満が一様に聞かれた。その姿は、トランプ支持者が自らを語る際の「忘れられた人々」に重なる。

「極端な苦難に直面しながら、彼らに救いの手が伸べられることはあまりなかった」と指摘するのは、人種間の社会格差に詳しいアリゾナ大学のリサ・サンチェス助教だ。

「コロナ禍でエッセンシャルワーカーと位置付けられながら、現業職に就いているが故に、(白人など)他のグループと比較して解雇対象になりやすく、家族や友人にコロナで死ぬ人も多かった」

アリゾナ州の22年の世帯収入の中央値は、白人の約7万6000ドルに対しヒスパニックは約6万3000ドルと20%ほど低い。失業率は今年に入って3.9%と、白人(3.0%)より1ポイント近く高い。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国副首相が米財務長官と会談、対中関税に懸念 対話

ビジネス

アングル:債券市場に安心感、QT減速観測と財務長官

ビジネス

米中古住宅販売、1月は4.9%減の408万戸 4カ

ワールド

米・ウクライナ、鉱物協定巡り協議継続か 米高官は署
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中