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荒川河畔の原住民⑪

元自衛官、米軍特殊部隊員...海外に別荘を持つ「大金持ち」からホームレスになった波乱万丈人生

2024年11月13日(水)19時55分
文・写真:趙海成

しかし、問題はお金ではなく、身体への影響だ。30数年経った今でも後遺症が残っている。痛みがたまに出るだけでなく、年に1回その痛みは30分ぐらい続き、意識が突然なくなり頭が真っ白になる時もあるのだという。

2つ目は、親族の事業参加によって損失がもたらされたことだ。兄貴の事業の最盛期に、彼の兄とその息子が入社した。彼らは能力が足りないのに、社長が自分の親族であることで偉そうになった。結局、現場労働者の機嫌を損ねて、取引先の感情を害してしまったことがあった。

3つ目は、工事中の事件や事故が頻繫に発生したという問題だ。兄貴のような請負業者の場合、会社に所属している労働者がいるほか、日雇い労働者を雇うこともよくあるが、彼らを見つける最も簡単な方法はホームレスの中から募集することだという。

これについては、また注意しなければならないことがある。ホームレスの中には悪い人間が混ざっているので、下手をすると何か事件が起こるかもしれない。

兄貴には痛ましい教訓があった。

台東区の北千住、南千住には、今でも多くのホームレスがいる

台東区の北千住、南千住には、今でも多くのホームレスがいる。荒川の千住新橋下の河川敷には、彼らが住みやすい環境が揃っているようだ

雇った日雇い労働者が殺人事件を起こした

ある時、兄貴は山谷からホームレス2人を雇った。山谷は台東区北東部の出稼ぎ労働者の集まる場所であり、以前は犯罪が多い地域でもあった。

結局、仕事をしている間に2人は口論になり、そのうちの1人がナイフでもう1人を刺し殺してしまった。彼は知らせを聞いて現場に駆けつけると、殺人をした男を捉えて警察に通報した。その後、兄貴は殺人容疑者の雇い主として、警察に呼び出され、10日間尋問を受けることになった。

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