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日本社会

東大生の家庭の半数超が年収950万円以上という「出自の偏り」

2024年11月5日(火)10時00分
舞田敏彦(教育社会学者)
東大安田講堂

大学進学のために早い段階から私立高に通わせる家庭も少なくない Pixabay

<両親が管理職の割合も一般家庭より高く、東京・関東圏出身は5割を超える>

2023年春の18歳人口ベースの大学進学率は57.7%。同世代の6割近くが大学に進学する。1955(昭和30)年では7.9%でしかなかったこととくらべると、大幅な増加だ。

アメリカの社会学者マーチン・トロウは、進学率に依拠して高等教育の発展段階を区分している。進学率15%未満はエリート段階(進学は少数者の特権)、進学率15~49%はマス段階(進学は権利)、進学率が50%を超えるとユニバーサル段階で、進学は万人にとっての義務のようなものになる。今の日本は、まぎれもなく最後のユニバーサル段階に入っている。


このステージでは、高い社会的地位に就くためには大学の中でも入試難易度の高い有力大学に入ることが重要となる。教育が「生まれ」とは異なる公正な社会移動の手段として機能しているかを見るには、有力大学の学生の家庭背景を観察する必要がある。

日本の大学は伝統や威信によって階層化されているが、その頂点に位置するのは東京大学だ。同大学の『学生生活実態調査報告書』に、学部学生の家庭の年収分布が出ている。<図1>は、それを帯グラフにしたものだ。

学部学生の家庭の年収分布

東大生の家庭の年収分布は、大学生の子がいる年代の家庭(一般群)とはかなり違っている。年収950万円以上の割合を見ると、一般群では25.9%なのに対し、東大生の家庭では57.3%もいる。

東大生の家庭の年収は、普通の家庭とくらべて明らかに高い。東大は国立大学なので、私立大学よりも学費は安いが、入学までの間に多額の教育投資を必要とするのが一般的だ。幼少期からの習い事に加え、早い段階から私立校に通わせる家庭も少なくない。

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