安倍晋三に負け戦を挑んだ石破茂の復活劇
To Build a Post-Abe LDP
つまり、石破は党内で依然として孤立している。総裁就任から1週間でアベノミクスへの批判を緩めた主な理由の1つは、岸田が安倍の経済政策を継承し推進してきたからだ。さらに、旧安倍派の政治資金疑惑に関与した議員に一旦は寛容な姿勢を示した。これは1918年に石破が声高に拒絶した、権力を死守する政治スタイルにほかならない。
理想主義を手放す代償
とはいえ、こうした妥協は避けられなかったのかもしれない。高市とその支持者は党内野党の勢力を形成しており、石破が安倍路線からあまりに逸脱すれば、反乱を起こす可能性は十分にある。
ただし、石破のこのような対応は、理想主義的な真実の語り手としての自らの評判を損ないかねない。より民主的な政治を実現しようというその決意は、石破が政治を続ける理由そのものであるはずだ。そうした変化は政権発足直後に首相としての力を弱めるだけでなく、10月27日投開票の総選挙で自民党が単独過半数を維持する可能性をも脅かすだろう。
安倍の政治的ビジョンに今も多くの党員が固執している状況で、石破のような経歴の政治家が「安倍後」の自民党を構築しようとすることは荷が重すぎるのかもしれない。
だが、石破が新しい自民党の構築に失敗したとしても、総裁選の勝利は日本の与党の中核にある路線対立を浮き彫りにした。安倍が国内外で容赦なく権力を追求した代償を自民党が清算するかどうか。この争いが、今後何年にもわたり日本の政治を形作ることになる。

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