米大統領「オクトーバー・サプライズ」、どこまで結果に影響? 19世紀から続く「歴史」からひも解く
ARE OCTOBER SURPRISES OVERBLOWN?
ところがこれを受けて、ニクソン陣営の関係者が第三者を通じて秘密裏に南ベトナムに接触し、11月初旬に和平交渉がまとまる可能性をつぶそうと働きかけを行った。大統領選はニクソンが勝利した。
国民は共和党の裏工作を知らなかったものの、ジョンソンは知っていた。しかし彼は、この一件を公にしないことを選んだ。ニクソンが勝利した場合にアメリカの立場を弱体化させることになるし、裏工作を盗聴によって知ったことが露呈するのを恐れたからだ。
72年の大統領選では再選を目指すニクソン陣営が10月8日、北ベトナムが和平協定に合意したというサプライズを仕掛けた。ヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がその18日後に「和平実現は近い」と発表したが、実は既にその合意は破綻していた。
今年の米大統領選は「常態」に戻った
オクトーバー・サプライズの歴史が語られるときに必ず議論されるのは、「10月の波乱」には本当に影響力があるのかという点だ。
多くの有名な歴史的事例を振り返ると、オクトーバー・サプライズは実際に選挙結果を変えているとは言えない。72年の大統領選でニクソンが民主党の対立候補ジョージ・マクガバンに圧勝した最大の要因は、10月下旬にキッシンジャーが「ベトナム和平実現は近い」とアピールしたことではなかった。
しかし今年の大統領選では、オクトーバー・サプライズが選挙の行方を狂わせる可能性がある。
民主党候補が途中交代して、実質的に選挙戦が短くなるという異例の事態が起こった上に、最近の米大統領選では一握りの激戦州が結果を左右することを考えると(マップ参照)、オクトーバー・サプライズが極めて重要な一部の有権者層を動かすかもしれない。既に一部の州では期日前投票が始まっており、あらゆる出来事がリアルタイムで投票行動を変え得る。
それでも注目すべきなのは、過去数カ月にわたって不安定な状況が続いてきたのに、現在は選挙戦が世論調査の予測どおりに進み、大半の激戦州で有権者の支持が二分されていることだ。
ジョー・バイデン大統領が民主党の大統領候補だったことと彼への低い支持率は、「常態」の選挙にはないものだった。選挙戦での失策や高齢への不安から、民主党支持者の熱意はかつてないほど低下していた。
目下の選挙戦は、私たちが1990年代以降の選挙で経験してきたものに戻っている。候補者が暗殺未遂に遭っても、討論会で決定的に優れたパフォーマンスを見せても、流れを大きく変えることがない選挙だ。ハロウィーンまでにさらに衝撃的な出来事が起きたとしても、ニュース番組が一瞬騒ぎ立てるだけで、共和党と民主党を隔てる壁は変わらずに残るだろう。
この壁は土壇場での民主党候補の交代や共和党候補への2度の暗殺未遂、そして両党の劇的な党大会や中東での紛争があっても崩れなかった。どれだけ劇的なサプライズが起こったところで、有権者の基本的な考えは変わらない可能性が高い。

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