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中国の定年延長は「生ぬるすぎて」効果ゼロ?...約70年ぶりの引き上げも「不十分」と言える理由

2024年9月24日(火)14時07分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)
中国の高齢者

不安定な年金制度のせいで高齢者の貧困問題も CFOTOーSIPA USAーREUTERS

<平均寿命が78歳まで延び、年金基金の枯渇も危ぶまれる中国。小幅で緩慢な改革には期待できない>

中国が法定退職年齢の段階的な引き上げを決めた。9月13日に行われた発表によれば、来年から15年かけて実施するという。この異例の決定(定年延長は1950年代以来、初めて)は、実に不十分だ。

現行制度では、男性の退職年齢は60歳。事務職の女性は55歳で、それ以外の女性は50歳だ。今後は男性が63歳、事務職女性は58歳、それ以外の女性は55歳に最終的に引き上げられる。だが、こんな小幅で緩慢な改革はほぼ効果ゼロだ。なにしろ、現在の中国の平均寿命は78歳に延びている。


中国は年金制度の確立に苦しんでいる。特に地方部では、高齢者の貧困が珍しくない。中国社会科学院経済研究所は2019年、都市部労働者の年金基金が35年までに枯渇すると推測。中年層の個人退職口座開設の促進を目指したが、低調なまま頓挫している。

習政権には悩ましい課題だ。改革を本格化すれば、大規模な反発で断念に追い込まれる可能性が高いのだから......。

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