先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない生物」が描かれていた「謎」...南ア大学チーム
Mysterious Rock Art May Depict 'Strange' Animal From 250 Million Years Ago
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<南アフリカ先住民の遺跡に描かれた壁画に、人類が誕生する以前に絶滅したはずの獣弓目と見られる動物の姿があるのを、大学の研究チームが発見した>
2億年以上前の地球上に生息し、最初の人類が現れるずっと前に絶滅した「不思議な動物」が、南アフリカの先住民が遺した謎の壁画に描かれている可能性が浮上した。南アフリカ、ウィットウォーターズランド大学の研究によれば、壁画に描かれた多様な動物の中にいる「長い胴体と下向きの牙を持つ」正体不明の動物は、獣弓目の一種である可能性があるという。
■【写真】なぜ? 先住民の壁画に「人類誕生前に絶滅したはずの古代生物」の姿が...大学研究チームが謎に挑む
学術誌「PLOS ONE」に発表された研究論文の著者は、南アフリカ、フリーステイト州にあるラ・ベル・フランス遺跡の岩壁の一部「ホーンド・サーペント(ツノのあるヘビ)パネル」を調査した。これは、現地の狩猟採集民族、サン族(San people)が、少なくとも200年以上前に描いた壁画があるセクションだ。
これらの壁画は、短く張り出した砂岩が屋根のようになった岩陰の遺跡にあり、サン族に関連する動物などが描かれている。そうした動物の一つに、長い胴体と下向きの牙を持つ謎めいた生き物がある。
この動物は、壁画が描かれた1821~1835年に一帯に生息していた既知のどの種とも一致していないように見える。南アフリカ、ヨハネスブルクにあるウィットウォーターズランド大学のジュリアン・ブノワは、この動物はディキノドン類を描いたものだという仮説を提唱している。
ディキノドン類は、カメのようなくちばしと、セイウチのような牙を持つ草食動物だった。最初の恐竜より早く現れ、約2億6500万万年前から約2億年前にかけて存在した。中生代(約2億5200万~6600万年前)後期に、哺乳類へと進化した不思議な生き物のグループ、獣弓目に属している。
遺跡の周辺では多くの獣弓類の化石が発見されている
サン族は、動物や化石など、自分たちが暮らす環境のさまざまな側面を芸術に取り入れていることで知られる。
ブノワは本誌の取材に対し、ホーンド・サーペント・パネルが存在する南アフリカのカルー盆地には、「信じられないほど大量かつ多様」な獣弓類の化石が存在すると話している。南アフリカの面積の3分の2を覆うその地層は、「カルー超層群」と呼ばれている。
カルー超層群では、ディキノドン類の化石も発掘されており、地表に露出していることも少なくない。ラ・ベル・フランス遺跡で発見されたディキノドン類の化石は、おおむね2億5000万年ほど前のものだ。
ブノワは研究論文の中で、ディキノドン類の化石について、「多くの場合、浸食によって頭蓋骨が自然に露出しているため、見つけやすく採取しやすい。また、牙が目立つため、素人目にも、その解剖学的特徴を解釈するのは難しくない」と述べている。