最新記事
ウクライナ戦争

ロシア軍が「警戒を弱める」タイミングを狙い撃ち...ウクライナがドローン攻撃で戦車を次々に爆破する映像

Ukraine night cam video shows 3 Russian tanks, 4 APCs destroyed overnight

2024年6月8日(土)12時33分
エリー・クック
移動中のロシア軍車列にドローン攻撃

vaalaa/Shutterstock

<ウクライナのFPV(一人称視点)ドローンがロシア軍の車列に突っ込み、爆発が起こる様子を捉えたとみられる動画を公表>

ウクライナ政府は、ウクライナ軍のFPV(一人称視点)ドローンが一晩でロシア軍の戦車3両をはじめとする複数の軍用車両を「破壊した」と発表。この中にはロシア軍が誇る主力戦車「T-90」1両も含まれているという。攻撃時の様子だとされる動画も公開されており、そこには移動中で警備が手薄になった車列に次々とドローンが突撃する様子が収められている。

■【動画】ドローンにとって「絶好の攻撃チャンス」...ロシア戦車など7台を次々と灰にした攻撃の一部始終

ウクライナ国防省は6月4日、ウクライナ軍第47機械化旅団のドローンパイロットがロシアの新型T-90戦車1両、T-72戦車2両とトラック4台、さらには装甲兵員輸送車2台を排除したと発表。自爆型ドローンが車列に突入し、爆発が起こる様子を捉えたとみられる動画をインターネット上で共有した。

第47機械化旅団は3日にソーシャルメディア上に投稿した別の声明の中で、同旅団のドローン専門部隊が攻撃を実行したと述べ、戦場の動画を共有した。本誌はこれらの動画の撮影時期や場所について独自に確認することができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めたがこれまでに返答はない。

ウクライナとロシアはドローン戦で優位を目指す競争を繰り広げており、ウクライナ上空で主に使用されているのはFPVドローンだ。FPVドローンはウクライナの前線全域で偵察のほか標的の特定および攻撃に使われている。ロシア軍の戦車を標的にすることも多く、ウクライナ軍は戦場でドローン撮影した動画をインターネット上で頻繁に共有している。

T-90はロシア自慢の最新型戦車

少なくとも一部が(ウクライナ東部の)ドネツク州ポクロウシク近郊に配備されている第47機械化旅団は5月下旬、ドローン部隊がロシア軍のT-90戦車6両を破壊したと発表。さらにそのわずか数日後には、1機500ドルのドローンを使用して「数百万ドルの価値がある」とされるロシア軍の新型T-90戦車1両を破壊したと述べた。

ロシアはT-90戦車、中でも「プロリフ(突破)-3」と呼ばれるT-90M戦車を自賛してきた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2023年6月、T-90Mは「世界最高の戦車」だと述べている。

ロシア国営メディアは2022年12月下旬、T-90Mが初めてウクライナに配備されたことを報じた。T-90は米国製のエイブラムス戦車と比較されることが多く、2023年9月にはウクライナ政府が、アメリカから供与されたエイブラムス戦車がウクライナに到着し始めたことを確認している。ウクライナ軍第47機械化旅団は、このエイブラムス戦車を運用している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ノルウェー中銀金利据え置き、来年3回の利下げ想定 

ワールド

ガザ空爆で13人死亡、停戦合意へ調停続く

ワールド

プーチン大統領阻止へ米欧は結束を、ウクライナ大統領

ビジネス

ドイツの対英輸出、金高騰で急増 対米輸出上回る伸び
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 2
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 3
    遠距離から超速で標的に到達、ウクライナの新型「ヘルミサイル」ドローンの量産加速
  • 4
    「制御不能」な災、黒煙に覆われた空...ロシア石油施…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 8
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 10
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中