最新記事
トランプ裁判

まるで「法廷ドラマ」...前大統領トランプを「重罪犯」とした裁判の全貌

Trump Now a Convicted Felon

2024年6月3日(月)17時04分
ジェレミー・スタール(スレート誌シニアエディター)

何より一連の出来事は、トランプ本人も自分が勝つかどうか分からなかった時期に起きた。しかも特に重要な部分は、16年10月の『アクセス・ハリウッド』スキャンダルでトランプの支持率が低下した後、民主党候補のヒラリー・クリントンの私用メール問題の再捜査について報じられるまでの短い間に起きている。

10月8日、テレビ番組『アクセス・ハリウッド』の収録中にトランプが下品な言葉で女性の話をしていたことが報じられ、陣営は混乱に陥った。トランプとの複数回の電話を経て3日後の11日、コーエンはダニエルズに口止め料を支払うためにペーパーカンパニー設立の手続きを始めた。

ところがトランプは、支払いを選挙後まで引き延ばし、払わずに済ませようと考えた。10月24日、26日、28日にトランプとコーエンが電話で協議を重ね、コーエンはトランプの命令でダニエルズ側と取引をまとめた。

10月26日、口止め料の13万ドルが、コーエンの個人口座からペーパーカンパニーに入金された。27日、コーエンからダニエルズの弁護士キース・デビッドソンに電信送金の手続きが取られた。

翌28日、クリントンが国務長官時代に公務で私用メールを使っていた問題でFBIが捜査を再開したことが報じられ、情勢は大きく変わった。その約10日後、トランプが大統領に当選した。

開票が進んでトランプの勝利が明らかになり始めた頃、デビッドソンはナショナル・エンクワイアラー紙の編集者ディラン・ハワードにメールを送った。

「私たちは何をしたんだ?」

©2024 The Slate Group

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中