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家族旅行で学校を休んでも欠席にならない「たびスタ」制度の導入を

2024年5月16日(木)15時20分
舞田敏彦(教育社会学者)

別府市のように観光業が盛んな地域では、数値はもっと高いだろう。市町村別のデータはないが、都道府県別のデータはある。<表2>は、末子が小学生の父親のうち、日曜に仕事をした人の割合を県別に出したものだ。値が高い順に並べている。

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全国値は27.7%だが、3割を超えるのは14県、4割超えは6県で、最も高い鳥取県では55.7%にもなっている。小学生の父親の半分以上が、日曜日に働いている。医療や介護といった産業に従事している人が多いこともあるだろう。

別府市がある大分県は5位、日光市がある栃木県も6位と順位が高い。数値が高い地域では、別府市の「たびスタ」のような制度への需要が大きいとみられる。市町村間のバラつきもあるはずだ。各市町村で調査を行い、学校の休業日をどうするかを判断することも必要になる。

公立学校の休業日を定めるのは、自治体の教育委員会だ(学校教育法施行令第29条)。小中学校の場合、市町村の教育委員会ということになる。学校の授業の終始時刻を決めるのは、各学校の校長だ(同法施行規則第60条)。

あまり知られていないが、各自治体や各学校はそれなりの裁量を持っている。学校の休みや始業時間が分散すれば、盆や正月の帰省ラッシュ、日々の通勤・通学ラッシュも緩和される。保護者の働き方の多様化にも対応でき、家庭での「旅育」の機会も増やせる。

全国一律である必要などない。各地域の実情に応じ、学校運営には多様性を持たせるべきだ。

<資料:総務省『社会生活基本調査』(2021年)

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