未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い
2020年の『国勢調査』によると、同年10月時点の45~64歳男性(日本人)の未婚者は347万3234人、有配偶者は1103万8376人。よって、トータルの死亡率は以下のようになる。ベース人口10万人あたりの死亡者数だ。
▽未婚者=2万4624人/347万3234人=709.0人
▽有配偶者=2万8258人/1103万8376人=256.0人
同じ中高年男性でも、未婚者の死亡率は有配偶者の2.8倍にもなる。死因別に見ると、この倍率はもっと大きい。<表1>の各死因の死亡者数をベース人口で割った死亡率にし、「未婚者/有配偶者」の倍率が大きい順に並べると、<表2>のようになる。
肺炎による死亡率は未婚者が21.6、有配偶者が2.6で、前者は後者の8.3倍にもなる。糖尿病は7.5倍、高血圧は6.8倍、腎不全も6.4倍もの差が出ている。
肺炎はタバコ、糖尿病は甘いもの(脂っこいもの)、高血圧や腎不全は塩分の摂り過ぎだろう。こういう習癖に陥りやすいのは、食を「他律」されることがない未婚者だろう。同居の家族がいない独り暮らしの人は、とくに注意を要する。
だがそもそも、未婚者には低学歴・低収入といった不利な属性の人が多く、安価なジャンクフード等に依存せざるを得ない、という実態もある。アメリカでは、社会経済的地位による「健康格差」が問題化しているが、多かれ少なかれ日本も同じだろう。
前回の記事(「休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年で倍増している」)では、ご飯を食べられない国民が増えている現実を示した。奢侈品を除く食品については、消費税率を下げる(撤廃する)ことも考えなければならないだろう。
本記事では中高年男性のデータを見たが、この人たちは学校で家庭科を学んでいない。未婚の単身者となると、食生活が乱れやすいのも当然だ。中高の家庭科が男女共修になって久しいものの、この教科の学習が蔑ろになっていることはないか(とくに男子)。ここで示したような健康格差があることを踏まえ、食に対する生徒の関心を高めていく必要がある。