ロシアの自作自演? ウクライナと国境を接する親ロシア地域にドローン攻撃、介入の口実か
Drone Attack on Helicopter in European Country Raises Questions
モルドバから一方的に独立し、ロシア軍も駐留している沿ドニエストルに飾られたロシア戦車 Photo by Kit Gillet/MCT/ABACAPRESS.COM
<ウクライナの隣りのモルドバから分離独立した親ロ派地域でヘリが炎上。ロシアの次なる侵攻を恐れるモルドバに緊張が走る。動画は果たして本物か>
ウクライナと国境を接するモルドバの親ロシア派支配地域「沿ドニエストル」がドローン攻撃を受け、ウクライナとロシアの戦争が自国にも拡大するのではと危機感を抱くモルドバで懸念の声が高まっている。
【動画】モルドバの親ロ派地域にドローン攻撃、ヘリが炎上? 本当ならロシア介入の口実に
沿ドニエストル当局が運営するメディア「Perviy Pridnestrovie」は3月17日、同地域にある軍事施設に駐機していたヘリコプターがドローン攻撃を受けたとし、その模様だとする動画をソーシャルメディアに投稿した。本誌は現時点で、この動画の信ぴょう性を確認することができていない。
モルドバ東部にありウクライナと国境を接する沿ドニエストルは、1990年にモルドバから一方的に「独立」。国際社会からは国家として承認されていないが、ティラスポリを首都とし、親ロシアの分離主義勢力が支配しており、ロシアは沿ドニエストルに平和維持部隊およそ400人を含む約1500人の兵士を駐留させている。
ヨーロッパ寄りの姿勢でEU(欧州連合)への加盟を申請しているモルドバ政府と、親ロ派勢力が支配する沿ドニエストルの関係は緊迫の度を増している。
ロシアの「自作自演」?
モルドバ当局は17日、問題の動画を検証したと述べ、動画に映っている軍事施設は何年も前から稼働していないと指摘。沿ドニエストル地域に対するいかなる攻撃も確認できなかったと述べた。「今回の一件は、恐怖とパニックを引き起こそうとする(沿ドニエストル当局の)試みだ」とし、ウクライナ当局とも連絡を取っているとつけ加えた。
ウクライナ国防省情報総局のアンドレイ・ユソフ報道官はウクライナのメディアに対し、今回の一件は「ロシアによる挑発」だと主張。ウクライナの偽情報防止センターも今回の攻撃は沿ドニエストルに介入しようとするロシアの「自作自演」だと言う。「ロシアは沿ドニエストルに直接アクセスして軍事的な挑発を行う手段がないため、情報を操作して緊張をエスカレートさせようとしている」と述べた。
米シンクタンク「戦争研究所」は17日、「ロシア政府がモルドバを内側から不安定化させようと狙ってハイブリッド作戦を推し進めるなか」、「未確認の勢力」がモルドバにドローン攻撃を行ったと指摘した。