最新記事
韓国

「ノージャパン」はどこへ......韓国ソウルの街角に日本語看板が急増! その背景は?

2024年2月13日(火)17時57分
佐々木和義
韓国・ソウルで増える日本語看板

韓国・ソウルで日本語看板が増えている(写真すべて:佐々木和義)

<ソウルで日本語看板を掲げる店が増え、注目を集めている。韓国の屋外広告物法には言語表記の規制があり、この現象は賛否両論を呼んでいる。日本文化への憧れと歴史的背景が複雑に絡み合い、新たな文化的流れを形成している......>

いま、ソウルで日本語看板を掲げる店が話題になっている。日本風の店構えで看板表記も日本語のみという店が登場したのだ。これまでも日本風店構えの日本式居酒屋は存在したが、日本語とハングルを併記していた。最近、ハングル表記は注意してみないと気づかないほど小さい店や表記は日本語のみでハングル表記のない店が現れた。

 
 

日本語看板の増加、ソウルの新風景

明洞に隣接する乙支路3街は、日本が韓国を統治した時代の日本人居住区で、いまでも日本家屋が残っている。その日本家屋の奥にある中華料理店「自由軒」は、日本式中華料理を謳っている。店名や暖簾から店頭に掲示したアルバイト募集告知に至るまで日本語で、店内も日本の中華料理店に倣っている。メニューはもちろん韓国語だが、メニュー以外のハングル表記は注意してみないとわかりにくい。

自由軒の隣にある居酒屋「ロバタカミ」はすべて日本語だ。英字はあるがハングルはなく、掲示しているポスターも日本語だ。自由軒とロバタカミが店を構える路地には日本語看板が並んでいて、まるで東京か大阪のようだという声や写真をSNSに投稿直後、日本に旅行中かと尋ねられた人もいる。日本語看板は龍山区の龍理団通りや若者の街として知られる大学路でもみられるという。

R0021446.jpg

自由軒 ハングル表記は注意してみないとわからない

R0021453.jpg

ロバタカミ ハングル表記はなく、ポスターも日本語

多様な言語看板、法的枠組みと現実

韓国は屋外広告物法施行令で、看板や広告物など韓国語表記を義務付けている。事情によって外国語とする場合も外来語表記法に則ったハングルを併記しなければならない。

実際には梨泰院や東大門、中国人居住区など、地域によって英語やロシア語、中国語などの看板があり、最近はタイ語やベトナム語も目にするようになった。自治体等に相談する市民もいるが、法令上、面積5平方メートル以上の店舗や建物の4階以上に設置された表示について是正を要求できるとされているだけで、処罰条項がないことから取り締まりなど行われていないのが実状だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

関税の影響「控えめの公算」、FRBは状況注視=シカ

ワールド

ローマ教皇フランシスコ死去、88歳 初の中南米出身

ワールド

ロシア、トランプ氏の「今週合意」発言にコメントせず

ワールド

対米貿易協議は難航も、韓国大統領代行が指摘 24日
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 3
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投稿した写真が「嫌な予感しかしない」と話題
  • 4
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 5
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 6
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 9
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 10
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中