2024年再選されたトランプは忠誠心重視の人事で権力掌握 「破滅シナリオ」に身構える同盟国
「破滅シナリオ」に身構える同盟国
トランプ氏は来年の大統領選に向けた共和党指名候補レースで圧倒的な優位に立っており、正式に指名され、本選で民主党候補が確実視されているバイデン大統領に勝利すれば、トランプ氏の力は1期目よりも「強大化」する公算が大きい。国内外において有効な権力行使の方法を知り尽くしているからだ。
それが現実になった場合に米国がどうなるのかを巡り、各国の外交官は情報収集に躍起となっている。
トランプ氏自身は、ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせると主張している以外、2期目に推進する外交政策についてあまり語っていない。
ただロイターが話を聞いた欧州諸国の8人の外交官は、トランプ氏が米国によるNATO加盟国防衛の義務を守るのか疑問を投げかけ、ロシアと戦争しているウクライナへの支援を大幅に削減するのではないかと恐れている。
トランプ氏退任後も側近たちと意見交換を続けているというNATO加盟のある北欧の国の外交官は「(1期目は)われわれは(統治の)準備が整っていなかったが、今度はそうではないという声を聞いた」と語った。
この外交官の仕事の1つは、来年の大統領選で想定されるシナリオとその影響を本国に報告すること。最も好ましいのは米国が自己修正能力を発揮してバイデン氏が再選される展開だが、トランプ氏勝利の場合は、1期目と同じく時折行き過ぎた政策が行われる「マイルドシナリオ」のほか、トランプ氏が政府機構を破壊したり、政敵を次々に追放したりして、権力に抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)を働かせる米政治システムを弱体化させる「破滅シナリオ」があるという。
孤立主義に傾斜
トランプ政権時代に国防総省の高官だったマイケル・マルロイ氏は、トランプ氏が提唱する孤立主義的な外交政策を支持し、同氏に逆らわない人物が起用される確率が高いだろうとみている。
マルロイ氏は「トランプ氏への忠誠度が最重要になると思う。トランプ氏が信じる外交政策、つまりグローバリスト(的な政策)ではなく米国をより重視するという考えを確固として信奉することだ」と述べた。
1期目のトランプ氏は、トランスジェンダーの軍への入隊からシリアからの部隊撤退まで、国防総省に関するさまざまな問題で自身が起用した高官らと衝突してきた。1人目の国防長官で18年に辞任したジム・マティス氏も、トランプ氏と政策面で著しく意見の食い違いがあったと認めている。