最新記事
2024米大統領選

2024年再選されたトランプは忠誠心重視の人事で権力掌握 「破滅シナリオ」に身構える同盟国

2023年12月21日(木)13時23分
ロイター

「破滅シナリオ」に身構える同盟国

トランプ氏は来年の大統領選に向けた共和党指名候補レースで圧倒的な優位に立っており、正式に指名され、本選で民主党候補が確実視されているバイデン大統領に勝利すれば、トランプ氏の力は1期目よりも「強大化」する公算が大きい。国内外において有効な権力行使の方法を知り尽くしているからだ。

それが現実になった場合に米国がどうなるのかを巡り、各国の外交官は情報収集に躍起となっている。

トランプ氏自身は、ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせると主張している以外、2期目に推進する外交政策についてあまり語っていない。

ただロイターが話を聞いた欧州諸国の8人の外交官は、トランプ氏が米国によるNATO加盟国防衛の義務を守るのか疑問を投げかけ、ロシアと戦争しているウクライナへの支援を大幅に削減するのではないかと恐れている。

トランプ氏退任後も側近たちと意見交換を続けているというNATO加盟のある北欧の国の外交官は「(1期目は)われわれは(統治の)準備が整っていなかったが、今度はそうではないという声を聞いた」と語った。

この外交官の仕事の1つは、来年の大統領選で想定されるシナリオとその影響を本国に報告すること。最も好ましいのは米国が自己修正能力を発揮してバイデン氏が再選される展開だが、トランプ氏勝利の場合は、1期目と同じく時折行き過ぎた政策が行われる「マイルドシナリオ」のほか、トランプ氏が政府機構を破壊したり、政敵を次々に追放したりして、権力に抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)を働かせる米政治システムを弱体化させる「破滅シナリオ」があるという。

孤立主義に傾斜

トランプ政権時代に国防総省の高官だったマイケル・マルロイ氏は、トランプ氏が提唱する孤立主義的な外交政策を支持し、同氏に逆らわない人物が起用される確率が高いだろうとみている。

マルロイ氏は「トランプ氏への忠誠度が最重要になると思う。トランプ氏が信じる外交政策、つまりグローバリスト(的な政策)ではなく米国をより重視するという考えを確固として信奉することだ」と述べた。

1期目のトランプ氏は、トランスジェンダーの軍への入隊からシリアからの部隊撤退まで、国防総省に関するさまざまな問題で自身が起用した高官らと衝突してきた。1人目の国防長官で18年に辞任したジム・マティス氏も、トランプ氏と政策面で著しく意見の食い違いがあったと認めている。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、対中クリーン技術貿易で適切なバランス必要=ド

ワールド

中国、ロシア産濃縮ウラン輸出か 米が調査

ワールド

ヒズボラの通信機器相次ぎ爆発、9人死亡・2700人

ワールド

お知らせ=重複記事を削除します
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 8
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 9
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 10
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 7
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 8
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 10
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中