最新記事
2024米大統領選

2024年再選されたトランプは忠誠心重視の人事で権力掌握 「破滅シナリオ」に身構える同盟国

2023年12月21日(木)13時23分
ロイター

トランプ政権時代の駐スイス大使で、現在は陣営の資金調達を担当しているエド・マクマラン氏は、トランプ氏は2期目において外交政策の主要ポストに忠誠心がなかったり、言うことを聞かなかったりする人物を置くのを避けることが政権運営の成功に必須だと、十分認識しているとの見方を示した。

一方トランプ氏陣営の公式政策サイト「アジェンダ47」によると、安全保障に関わる中堅以下の政府職員のうち「ならず者」とみなした対象者を一掃する計画もあるという。

どんな政権でも中立的な立場で奉仕することが前提となっている米国の政府機構に対してそのような措置が講じられた例はほとんどない。

トランプ氏は1期目の末期に、公務員をより簡単な手続きで解雇できるようにする大統領令を発し、それは全面的に実施されないまま終わったが、政権奪回後に再導入すると明言している。

またアジェンダ47に示された文書に基づくと、トランプ氏は「ディープステート(闇の政府)」による権力乱用に関連する書類を公開するための「真実と和解の委員会」立ち上げや、情報収集活動をリアルタイムで監視する機関の設置も表明した。

トランプ氏が「国務省と国防総省、国家安全保障の既存体制は私の政権が終わるまでに非常に異なる場所になっている」と語る政策動画がある。

NATO脱退説も

トランプ氏は政権を奪回すれば中国の最恵国待遇を打ち切り、欧州諸国には防衛費増額を求めると約束している。

ワシントンに駐在する欧州各国の外交官が注視するのは、特に米国のウクライナ支援が続くのかどうかと、NATOに米国が関与し続けるのかという問題だ。

あるバルト三国の外交官は「トランプ氏が米国をNATOから脱退させたがっているとのうわさがある。われわれはパニックにはなっていないが、気がかりだ」と話した。

トランプ政権3人目の国家安全保障担当大統領補佐官で、のちに強烈なトランプ氏批判派に転じたジョン・ボルトン氏はロイターに、トランプ氏はNATOから脱退するとの見方を明かした。

ただトランプ政権時代の高官3人(2人は今もトランプ氏との関係を維持)は、そうした事態に現実味はないと一蹴。このうちの1人は、国内の政治的反発を踏まえれば、全く割に合わないだろう、と付け加えた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

2024091724issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年9月17日/24日号(9月10日発売)は「ニュースが分かる ユダヤ超入門」特集。ユダヤ人とは何なのか/なぜ世界に離散したのか/優秀な人材を輩出してきたのはなぜか…ユダヤを知れば世界が分かる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

KKR、富士ソフトへのTOBを2段階に 2回目も1

ワールド

深センで死亡した男児は日本国籍、事件は「個別の事案

ワールド

イスラエル軍、ヒズボラの武器倉庫など攻撃 レバノン

ビジネス

レバノンで爆発と報道の無線機は既に終売、自社出荷製
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 3
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 4
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 7
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 10
    米大統領選を左右するかもしれない「ハリスの大笑い」
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 7
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 8
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 9
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中