【スクープ】中国のAI研究者に米政府が3000万ドルを渡していた...朱松純の正体、あの「千人計画」との関係
US Funded Top Chinese Scientist
<米中間の技術競争が激化する最中、米国防総省の助成金が中国のために働く中国人研究者の手に渡り、最先端のAI技術が流出していた!?>
アメリカ政府から少なくとも3000万ドルの研究助成金を得ていたコンピューター学者が、今は中国で最先端のAI(人工知能)開発チームを率い、アメリカの先を行こうとしていることが、本誌の独自取材で明らかになった。
この科学者は朱松純(チュー・ソンチュン、55)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のAI研究所を率いていた人物で、国防総省からの助成金は彼が中国の武漢近郊で同様のAI研究所を立ち上げ、北京大学で軍事技術の開発を支援する役職に就き、中国共産党の「千人計画」(海外からの知識や技術の移転を先導するプログラム)のメンバーに選ばれてからも続いていた。
アメリカの研究環境はオープンで、だからこそ世界中の有能な人材を引き付けるのだが、本誌の調べで明らかになったのは、軍事転用も可能な先端技術が中国に渡っているだけでなく、アメリカ政府が(最大のライバル国である)中国の科学者を積極的に迎え入れ、彼らに研究資金を提供している現実だ。
今は地政学的な懸念から貿易、先端技術までのあらゆる局面で中国との緊張が高まっている時期だ。学術研究に対する公的助成(国民の税金だ)の在り方にも厳しい目が向けられるべきだ。
朱に対する研究助成金について問い合わせると、国防総省は本誌に、国際協調には利点もあると回答してきた。中国のみならず世界中からトップレベルの研究者がアメリカにやって来るのは公的助成金のおかげ、というわけだ。
連邦政府の一機関で、朱にも潤沢な研究資金を提供してきた全米科学財団(NSF)は、昨年から助成先の選定に新たな分析ツールを導入し、潜在的な利益相反のリスク判定に用いている。
「朱の外国での共同研究や所属先は特定でき、情報機関や司法当局にも共有された」。NSFのレベッカ・カイザーは本誌にそう語り、「NSFがこうした安全保障上のリスクに気付いたのは、彼への研究助成が終了する間際だった」と弁明した。
なお本誌の知る限り、朱は現時点でいかなる法令違反にも問われていない。また朱自身や彼の所属先からのコメントは得られていない。
米中から資金を二重取り
本誌の調べでは、朱に助成金を出していた政府機関には国防総省の防衛先端技術研究計画局(DARPA)や海軍、陸軍が含まれる。