「いずれ地上作戦も実行」「ハマスはISと同等のテロ組織」...駐日イスラエル公使が語ったパレスチナ政策の行方
いつ状況が落ち着くのかについては誰もわからない。公式な立場は明確だ。現状に対処し、ハマスという組織の基盤を破壊すること。つまり政治的にも軍事的にも、である。そう考えれば、地上作戦もどこかのタイミングで実行されるだろう。状況が揃うまで待機している状態で、そう考えると、戦闘はまだ終わらないだろう。
また北部も懸念だが、10月7日朝のハマスのテロ攻撃によって、イスラエルはさらなる挑発に対する忍耐力がかなり低くなっている。北部の動きは注目である。イスラエルの予備役についても、世界中からイスラエルを守る国防軍に参加するために大勢が集結し、予備役の数は140%以上にも増えている。
──今回、イスラエルがハマスの攻撃を食い止められなかったのは情報当局などに責任があるという批判もある。
これについては、これから調査が行われるはずで、それには時間がかかるだろう。現在は、まだ検証する段階ではない。
経済部門の担当公使が語った「日本への影響」
公使のインタビューは以上だが、実は筆者は先日、テレビ愛知の夕方のニュース番組に出演した際に、愛知県の企業がビジネス関係のあるイスラエル企業との連絡が滞っていると聞いた。それ以外にも今回の大規模テロを受けて、イスラエルとビジネスを行っている、または、これからビジネスを行う予定の日本企業など一部で不安が広がっていた。
そこでイスラエル大使館で経済部門を担当するダニエル・コルバー経済担当公使兼経済貿易ミッション代表にも話を聞いた。
──今回の大規模攻撃を受けて、10月10日に予定されていたイスラエル経済産業省ニール・バルカット大臣の来日が中止になった。日本とイスラエルのビジネス関係にどんな影響がでそうか。
一般的に戦争など混乱が起きると経済的にも対応しなければならないことが出てきますが、イスラエルの場合は対応に慣れているということがあります。ミサイルが飛来したり、国民が予備役に招集される状況にも、過去何十年という経験があるので、どう対応すべきかについてはわかっています。
実際に、イスラエル企業は、これまでと同じく日本企業ともミーティングを行っています。来日しているイスラエルの企業関係者もいますし、新しい契約が締結されたりもしています。またテクノロジー部門では、物品のやり取りではなく、ソフトウェアを扱うのでビジネスに支障はありません。
国民の中には緊急事態に対応しないといけない人もいるので、コミュニケーションがスローになっているところも一部あるかもしれませんが、引き続きこれまで通りのビジネスをしてもらえると思います。
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イスラエルとガザ地区では、まだ先行きが見通せない情勢は続くだろう。しばらくは、中東から目は離せない。
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