「いずれ地上作戦も実行」「ハマスはISと同等のテロ組織」...駐日イスラエル公使が語ったパレスチナ政策の行方
ガザ地区との境界線付近で装甲車に乗るイスラエル兵士(10月31日) Amir Cohen-Reuters
<イスラエル側から見た、今回のハマスによる攻撃とイスラエルによる報復。2人の駐日イスラエル公使に話を聞いた>
2023年10月7日早朝、パレスチナ自治区ガザ地区からパレスチナの武装勢力(ハマスとイスラム聖戦)がイスラエルに数千発のロケット弾を発射した。それと同時に、1500人規模の戦闘員らがイスラエルに侵入し、一般市民を次々と殺害。音楽フェスの参加者多数を銃殺したり、住居にも侵入するなど外国人を含む市民が犠牲になった。さらに225人以上のイスラエル人が誘拐されて、ガザに連れ去られている。
10月25日の段階で、イスラエル国内で約1400人が殺害され、5240人が負傷したことがわかっている。
イスラエル政府は挙国一致の戦時内閣を発足。イスラエル国防軍は、ガザに向けて報復攻撃を続けている。ガザ保健省によれば、イスラエルによる空爆などでパレスチナ側にこれまで7000人以上の死者が出ている。今後、イスラエル国防軍による地上侵攻がどれほどの規模で行われるのかによって、巻き添えになる死者数は増える可能性も指摘されている。
いまだ予断を許さない状況のイスラエル・パレスチナ情勢。筆者は先日、イスラエル・ストゥルロヴ駐日イスラエル大使館公使に話を聞くことができた。
駐日イスラエル大使館公使「戦闘はまだ終わらない」
──今回の攻撃はこれまでとは何が違うのか。
今回の攻撃は、これまでと違う大きいスケールであり、これまでとは違うオペレーションで、これまでにない連携が行われ、かかっている資金の規模も違う。これまでイスラエルが経験したことがない規模である。
またかなり詳細に計画されたもので、現時点でわかっているところでは1500人以上ほどのハマス戦闘員がこれまでにない残虐性でテロを行った。イスラエル人の殺害方法や、イスラエル人をどのように最も怯えさせる方法で殺害するのかまで指令があった。またどのようにイスラエル人を誘拐するのかについても言及されており、死亡した戦闘員のポケットからそういう指示が書かれたメモが実際に押収されている。
まず言いたいのは、ハマスがテロ組織だということだ。しかも資金も豊富で支援も得ているかなり巧妙な組織である。多くの西側諸国がそう認識していて、この点は非常に重要だ。政治部門と軍事部門を持っているが、単なる武装集団ではなく、テロ組織だということを理解すべきだろう。
──今回は、ミサイルによる激しい攻撃も起きた。
集中的に短期間で行われた攻撃で、過去に経験したことのないレベルだった。実はガザからのミサイル攻撃は、戦闘員がイスラエル領内に潜入するため、人の注意をそらすためでもあった。巧妙な作戦だった。