習近平が国防相と外相を粛清した本当の理由......次のターゲットは?
最も効果的なのは、習がトップの李を辱めること
毛沢東には粛清工作を担う康生(カン・ション)がいたし、スターリンには弾圧を指揮するニコライ・エジョフがいた。手ごわい敵を遠ざけた独裁者は、新たな挑戦者の出現に備え、親密な仲間をも冷静に見極め粛清できる冷酷な人物を必要とする。蔡の台頭は「習派」の面々に明確なメッセージを伝えている。
習は、残る抵抗勢力が国務院にあることを理解している。国務院のテクノクラート(専門知識を持つ技術官僚)は、習のような「党派」よりも高い社会的評価を受けている。邪魔者を退けるには、国務院そのものを苦しませる必要があり、中国の伝統では、公に恥をかかせなければ政治的討伐は完了しない。最も効果的なのは、習がトップの李を辱めることだ。
李は就任前からそれを理解していたに違いない。彼が就任会見で「国務院の何よりの秩序は政治である」と述べたことからも見て取れる(「喜んでひざまずきます」という意味だ)。李は協力的に自ら身を引くことで見返りを受けるだろう。
皇帝に仕えるという特権のため、そして側室のハーレムを汚さないために、去勢された宦官が中国に存在していたのは、それほど昔のことではない。最後の宦官は1996年に死去したと言われているが、実はまだ存在しているのかもしれない。
練乙錚
YIZHENG LIAN
香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。
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