ジャニーズ事務所、故ジャニー氏の性加害認める 企業によるタレント起用見送り広がるか
「ジャニーズ」事務所という社名を存続させるかは今後も検討する。東山氏は「ジャニーズは創業者の名前でもあり、グループの名前にもなっているが、何より大事なのはタレントが培ってきたエネルギー、プライドだとも思う」と説明。「エンターテインメントは人を幸せにするためにあるもので、喜多川氏に関してはそうじゃなかったが、その力を信じたい」と語った。その上で、社名変更は「検討の余地」があるとも話した。
被害者の心のケアについて東山氏は「被害者は数百人の可能性がある。大変センシティブな問題。心のケアという窓口を作って、そこで声を上げてくれたら嬉しいが、なかなかそういうことは難しいだろう。どのぐらい時間かかるか分からないが法を超えて救済・補償が必要だ」と話した。
事務所側の会見を踏まえ、性被害を訴える元タレントらによる「ジャニーズ性加害問題当事者の会」も会見した。石丸志門副代表は「非常に稚拙で、準備不足の会見」と印象を語る一方、事務所側が「事実認定と謝罪と救済を認めたことは評価できる」とした。
東京海上日動、JALが所属タレント起用見送り
東京海上日動火災保険は同事務所所属タレントの相葉雅紀さんをCMで起用しているが、同社の広報担当者はこの日、喜多川氏による性加害の調査報告書を受けて、契約を更新しないことを決定したと明らかにした。広報によると、相葉さんのCM契約の途中解除も検討しているという。
同じく所属タレントの櫻井翔さんや松本潤さんなどを広告に起用してきた日本航空も、「同事務所の再発防止や被害者救済に関わる検討状況を注視し、適切な対応が取られることを確認するまでの間、起用を見送ることにした」(広報)という。
一連の問題を巡っては、事務所が調査を依頼した外部専門家による「再発防止特別チーム」が8月29日に会見。調査報告書の内容を説明し、喜多川氏による1970年代前半から2010年代半ばまでの多数の性加害を事実と認定、被害は少なくとも数百人に及ぶ可能性があるとした。
英放送BBCが3月に報道し、多数の元ジャニーズJr.が実名で被害を告発。これを受けて、藤島社長が5月に公開した謝罪動画では「(問題を)知らなかった」と発言。公の場で説明責任を果たしていないなどと批判されていた。
国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が7月下旬に来日し、8月初旬にかけて被害を訴える当事者や事務所の代表者に聞き取り調査を行う事態にまで発展した。