最新記事
セクハラ

インドネシア、ミスコン選考でファイナリストにヌードを強要 世界最多のイスラム教徒の国で大炎上

2023年8月11日(金)20時05分
大塚智彦
上半身裸の女性の後ろ姿

*写真はイメージです New Africa - Shutterstock

<女性の肌の露出に敏感な国でなぜこんな事件が起きた?>

ミス・ユニバースのインドネシア代表を選考する大会で最終審査に残った参加女性たちに審査員らが脱衣を求めてヌードを強要、その様子を撮影していたことが明らかになり、警察が捜査に乗り出す事態になっている。

 
 
 
 

これはファイナリストの何人かから相談を受けた弁護士が8月9日に明らかにしたもので、最終審査に残った30人の参加者のうち7人から「セクハラではないか」と依頼を受け、証人被害者保護庁(LPSK)に相談したうえで7日には警察に対して告発したことを記者団に明らかにした。

これを受けてインドネシアの新聞、テレビなどのマスコミは一斉にこのセクハラ事件を大きく報じ、海外メディアの報道も続くなどしたため同国では現在一番ホットなニュースとなっている。

「刺青や傷の検査」と審査員らは主張

参加したファイナリストの女性からの訴えによると、事件は首都ジャカルタの中心部にあるサリパシフィックホテルのボールルームで開催されるミス・ユニバース・インドネシアの最終選考の前々日、8月1日に起きた。ファイナル審査に残った参加者30人が、審査員らから突然、脱衣して上半身裸になることを求められたという。

ヌードになることは事前に一切知らされることなく、参加者たちは驚いたものの最終的には裸にならざるを得なかったという。

コンテストの主宰者側は「最終審査に臨む参加者の体に刺青や傷、堆積脂肪(セルライト=皮膚表面を凸凹させる皮下脂肪の固まり)がないかを確認する一種の身体検査である」と主張。脱衣を求めたことを正当化しているという。だが、参加者によると審査員の中には男性もおり、裸になった女性たちはその場で写真撮影までされたと語っている。

写真まで撮影されたことで参加者の中には泣き出す女性もいたといい「事前に告知するべきだった」「せめてプライベートな場所でトップレス検査はするべきだった」などの声も出たが、弁護士は「そもそもミス・ユニバースの選考になぜトップレスになる必要があるのかが疑問である」として「セクハラ以外のなにものでもない」との見解を示して主宰者、審査員らの告発に踏み切った理由を強調している。

匿名で記者会見に応じた参加者の中には「両足を開脚するポーズをとるように要求された」と訴えた女性もいた。インドネシアの報道では会見に応じた参加者の顔にはモザイクがかけられ、プライバシー保護が配慮されていた。

>>【動画】インドネシアのミスコン、ファイナリストにヌードを強要するセクハラ

自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中